名鉄犬山線
所在地 | 愛知県、岐阜県 |
---|---|
駅数 | 17駅 |
開業 | 1912年(明治45年)8月6日 |
距離 | 26.8km | 複線以上が存在しているか | ○ |
電化区間が存在しているか | ○ |
最高速度 | 110km/h |
クイックアクセスガイド
犬山線(いぬやません)は、愛知県名古屋市西区の東枇杷島駅から愛知県清須市の枇杷島分岐点を経て、岐阜県各務原市の新鵜沼駅までを結ぶ名古屋鉄道(名鉄)の鉄道路線です。
市内電車(後の名古屋市交通局)で創業した名古屋鉄道の前身・名古屋電気鉄道の初期の郡部線(郊外路線、インターアーバン)であり、名古屋市と愛知県北部のベッドタウン各都市とを結んでいます。
名古屋本線と分岐する枇杷島分岐点には乗降設備が無く、同分岐点を通過する全列車が名鉄名古屋駅方面との直通であり、犬山線と名古屋本線枇杷島分岐点以西(津島線を含む)との乗り換えは東枇杷島駅、栄生駅、名鉄名古屋駅のいずれかの駅で行うことになっています。
犬山線沿線は清須市西枇杷島町・名古屋市西区(庄内川以北の平田・小田井地区)・北名古屋市・岩倉市・江南市・扶桑町・犬山市・各務原市、さらに当線からの直通列車の運行される広見線沿線の可児市など名古屋都市圏のベッドタウンが連続しており、付近に競合路線がなく、犬山線に乗客が集中するためラッシュ時の混雑率が非常に高くなっています。
また、可児市から犬山市までの沿線には、日本ライン(木曽川)や犬山城、日本モンキーパーク、明治村、リトルワールドなどの観光施設が多数立地しており、犬山線は観光路線としての性格も有しています。JR鵜沼駅に隣接する新鵜沼駅でJR高山本線に接続して名古屋と高山本線沿線を短絡することから、2001年までは高山本線直通の特急「北アルプス」が運転され、犬山線内では岩倉駅・江南駅・犬山駅・犬山遊園駅の各特急停車駅に停車していました。
立体交差化の進捗は遅く、2020年現在、中小田井駅南側~上小田井駅北側(新川堤防)と、西春駅南側の県道交差部、布袋駅付近の国道155号(バイパス)交差部のみが立体交差となっています。犬山口駅付近の坂を除き比較的平坦な土地を行くのでトンネルは一切無く、大きな鉄橋も犬山遊園~新鵜沼間の木曽川に架かる犬山橋のみとなっています。この犬山橋は、かつて鉄道道路併用橋となっていました。
最高速度は、1968年に当時の名古屋本線と同等の110km/hに引き上げられて以降そのまま推移しています。
1912年8月6日 | 名古屋電気鉄道一宮線東枇杷島~枇杷島橋(現在の枇杷島分岐点)~岩倉(~西印田)間、犬山線岩倉~犬山間開業(この内、一宮線全線と犬山線犬山口~犬山間は複線で開業)。 |
---|---|
1913年3月27日 | 稲荷駅を稲荷前駅に、小折駅を小折口駅に、高雄駅を下野駅に改称。 |
1913年10月1日 | 九ノ坪駅を新設。 |
1915年2月5日 | 大山寺駅を新設。 |
1921年7月1日 | 名古屋電気鉄道として開業した路線を名古屋鉄道へ譲渡する。 |
1922年7月21日 | 岩倉~犬山口間を複線化。 |
1926年5月2日 | 関線犬山~犬山橋(現在の犬山遊園駅)間開業。 |
1926年10月1日 | 関線犬山橋~新鵜沼間開業。関線を犬山線に編入し、岩倉~新鵜沼間が犬山線となる。 |
1927年11月20日 | デセホ700形特別仕様車3両を使用し、(押切町~)枇杷島橋~犬山橋間でお召し列車が運行された。 |
1941年8月12日 | 名岐線新名古屋(現在の名鉄名古屋駅)~枇杷島橋間開業に伴い、一宮線の押切町~東枇杷島~枇杷島橋間が廃止となる。東枇杷島~枇杷島橋間が名岐線、枇杷島橋~新鵜沼間が犬山線となる。 |
1944年 | 九ノ坪駅・徳重駅(現在の徳重・名古屋芸大駅)・稲荷前駅・小折口駅・宮後駅・木津用水駅・犬山橋駅を休止。 |
1946年9月15日 | 徳重駅を再開。 |
1947年4月5日 | 犬山橋駅を再開。 |
1948年2月1日 | 下野駅を扶桑駅に改称。 |
1948年5月12日 | 犬山線の架線電圧を1500Vに昇圧。 |
1949年8月1日 | 枇杷島橋駅を廃止し、枇杷島分岐点として下砂杁信号場とともに西枇杷島駅の構内に編入される。 |
1949年12月1日 | 犬山橋駅を犬山遊園駅に改称。 |
1952年11月18日 | 木津用水駅を再開。 |
1968年5月12日 | 名古屋本線に次いで、最高速度を110km/hに向上。 |
1969年4月5日 | 九ノ坪駅・稲荷前駅・小折口駅・宮後駅を廃止。 |
1981年11月10日 | 古知野駅を江南駅に改称。 |
1982年3月21日 | (新名古屋~)東枇杷島~犬山間の急行と(新名古屋~)東枇杷島~岩倉間の普通がそれぞれ毎時4本に増発(急行は高速の格下げ、普通は準急の格下げ)。 |
1986年7月6日 | 平田橋(現在の上小田井駅)~西春間が高架化。 |
1990年10月29日 | 準急を急行に統合の上で廃止し、種別が特急・急行・普通の3種別となった。 |
1991年10月27日 | 平田橋駅を移転の上で上小田井駅に改称し、中小田井~上小田井間が高架化した。 |
1993年8月12日 | 名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)鶴舞線との相互直通運転を開始し、上小田井駅に一部の急行が停車するようになる。 |
1996年4月8日 | 平日朝に豊橋発の一部特別車の特急が1本のみ新設された。 |
2000年3月28日 | 道路専用橋の犬山橋(ツインブリッジ)が完成し鉄道橋と分離、犬山橋を含む犬山遊園~新鵜沼間の併用軌道が専用軌道となる。 |
2001年10月1日 | JR高山本線直通特急「北アルプス号」が廃止となり、上小田井駅が急行停車駅に昇格される。 |
2004年2月15日 | トランパスを導入。 |
2005年1月29日 | 徳重駅を徳重・名古屋芸大駅に改称。空港線開業に伴うダイヤ改正により、運行種別に快速特急と快速急行が加わり、準急が復活した。また、扶桑駅が準急停車駅に昇格された。 |
2007年6月30日 | 特急の大半を一部特別車化。 |
2008年6月29日 | 最終の新鵜沼行の準急(現在は急行)の時刻を繰り下げ。 |
2008年12月27日 | 快速特急と特急の全列車が一部特別車となり、全車特別車列車の種別がミュースカイに改称される。また、柏森駅が快速特急停車駅に、扶桑駅が快速急行停車駅に、石仏駅・木津用水駅・犬山口駅が準急停車駅に昇格された(準急は岩倉駅以北が各駅停車となった)。 |
2017年6月10日 | 布袋駅付近の上り線が高架化。 |
2020年5月30日 | 布袋駅付近の下り線が高架化。 |
2023年3月18日 | 犬山~新鵜沼間の各務原線直通列車でワンマン運転を開始。 |
東枇杷島~江南間は県道名古屋江南線(名草線)とほぼ並行したルートで、江南駅付近で大きくカーブして、江南~犬山間は県道一宮犬山線とほぼ並行したルートになっています。
名古屋市にある東枇杷島駅を出た後、清須市との境界となっている庄内川に架かる鉄橋を渡ると枇杷島分岐点に差し掛かり、右側へカーブしながら勾配を下ります。勾配を下り終えたところには名古屋本線西枇杷島駅ホーム西側へとつながるデルタ線が分岐する下砂杁(しもすいり)信号場があり、河和・内海~名鉄名古屋間の一部特別車特急に使われる車両などが同信号所の下り線側にある着発線まで回送されてきて折り返しています。なお上り線の下砂杁信号場手前には、速度超過防止ATSの照査速度をそのまま表示した98km/hという速度制限標識が存在し、通常の書式で制限速度が5km/hの倍数ではない速度制限標識は珍しいものとなっています。
同信号所を過ぎると下小田井駅で、同駅の先では国道22号と名古屋高速6号清須線の下をくぐります。再び名古屋市に入り、高架橋を上ると、中小田井駅に至ります。同駅の先で上下線は離れ、上り線は名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)鶴舞線を乗り越すため、線路の位置がやや高くなり、左にカーブします。東海交通事業城北線の下をくぐりながら県道名古屋江南線を乗り越すと、右手から鶴舞線が上下線の間に割り込むような形で合流し、上小田井駅に着きます。同駅では上を名古屋第二環状自動車道、下を国道302号が交差しています。
上小田井駅を出ると一度地上に降りますが、しばらくして県道62号と立体交差するために再び高架となり、北名古屋市に入ります。県道を乗り越えると再び地上に降り、北名古屋市の玄関駅となる西春駅に着きます。次の徳重・名古屋芸大駅は大学や高等学校の最寄り駅で、これらの通学生の利用が多くあります。同駅の北側では五条川を渡り、川沿いには桜が植えられていることから、春先には美しい桜並木を見ることができます。川を渡ると岩倉市に入り、大山寺駅を経て左にカーブし、あとは直線で住宅地の中を進みます。県道の陸橋をくぐるとまもなく、岩倉市の玄関駅である岩倉駅に着きます。
岩倉駅を出るとS字にカーブして北上します。国道155号線(旧道)の踏切を越え、名神高速道路をくぐる手前に石仏駅があり、さらに北上します。このあたりはもともと田園地帯で当線では最も線形が良好な区間であり、特急や急行(6000系を除く)は最高時速110km/hで快走します。
石仏駅の北方で一宮市を少し通ったのちに江南市に入り国道155号線(バイパス)と立体交差した後、布袋駅に着きます。布袋駅北東の線路隣接地に高等学校があり、高校の脇を抜けて北上すると西方にコンクリート製の大仏が見えます。これは布袋の大仏で、個人が所有する大仏ではかなり大きい部類に入り東大寺のそれより背が2m高いものとなっています。市街地に入り右にカーブすると江南駅に着きます。江南駅は江南市の中心駅で、徒歩圏内に高等学校があり、駅からスクールバスや送迎バスなどが発着していることから、高校生・短大生・看護学生などの利用が多くなっています。 江南駅から右にカーブしたのちはしばらく直線が続き、自動車教習所を過ぎてしばらくすると扶桑町に入り、柏森駅に至ります。柏森駅は扶桑町内に有りますが、大口町の町境に近く、町内には駅の無い大口町の玄関口の役割ももっています。左にカーブしながら柏森駅を発車すると前方には各務原の山が見え、しばらくすると扶桑駅、右にカーブして直線区間の木津用水駅となります。ここから犬山市に入り上り坂になります。カーブして坂を上りきったところに犬山口駅があります。犬山口駅から左へカーブして小牧線・広見線が合流すると犬山駅に着きます。犬山駅は犬山市の中心駅であるとともに観光の拠点駅となっています。
犬山駅を出ると2分ほどで犬山遊園駅に着きます。元々は日本モンキーパークへのアクセス駅で2008年12月までモンキーパーク園内行きの犬山モノレールが発着していましたが、老朽化のため廃止され、モンキーパークへのアクセスは犬山駅東口からバス利用となっています。さらに進むと犬山橋で木曽川を渡ります。この橋はかつては道路に線路が敷設されていて、しかもその道路は1975年3月の名濃バイパス(国道41号現道)の開通までは、名古屋市から高山市などを通って富山市とを結ぶ国道41号線でした。列車の通行が車の通行の妨げとなり、また車の渋滞で列車の通行の妨げとなることも多かったことから、2000年3月に道路専用橋「ツインブリッジ」が造られ、旧橋は鉄道専用橋となりました。専用化後は大改装が行われ、道路上に線路が敷設されていた当時の面影はほとんど残っていません。
犬山橋を渡り終えると岐阜県各務原市に入りまもなく新鵜沼駅に着きます。2010年までは駅手前からJR高山本線へと繋がる単線の連絡線が右に分岐していました。この線路は2001年に運行取りやめとなった新名古屋~JR高山間の直通特急「北アルプス」が1日1往復通っていました。連絡線は「北アルプス」廃止後もしばらく残されていましたが、現在は線路やポイントなどが完全に撤去され、線路跡地はホーム増設用地および道路用地と建売住宅用地に転用され、当時の面影は残っていません。
駅名\種別 | 普通 | 準急 | 急行 | 快速急行 | 特急 | 快速特急 | ミュースカイ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東枇杷島(NH38) | ○ | | | | | | | | | | | | |
下小田井(IY01) | ○ | | | △ | ↑ | | | ↓ | | |
中小田井(IY02) | ○ | | | △ | ↑ | | | ↓ | | |
上小田井(IY03) | ○ | ○ | ○ | ○ | | | ↓ | | |
西春(IY04) | ○ | ○ | ○ | ○ | | | ↓ | | |
徳重・名古屋芸大(IY05) | ○ | | | | | ↑ | | | ↓ | | |
大山寺(IY06) | ○ | | | | | ↑ | | | ↓ | | |
岩倉(IY07) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
石仏(IY08) | ○ | ○ | | | ↑ | | | ↓ | | |
布袋(IY09) | ○ | ○ | ○ | ○ | | | ↓ | | |
江南(IY10) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
柏森(IY11) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | | |
扶桑(IY12) | ○ | ○ | ○ | ○ | | | ↓ | | |
木津用水(IY13) | ○ | ○ | | | ↑ | | | ↓ | | |
犬山口(IY14) | ○ | ○ | | | ↑ | | | ↓ | | |
犬山(IY15) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
犬山遊園(IY16) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
新鵜沼(IY17) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※記号の凡例 ○:停車、△:特別停車、|:通過、↓:通過(下りのみ設定)、↑:通過(上りのみ設定)、-:設定なし
特急形車両
通勤形車両