名鉄6000系・6500系・6800系電車

車両について

運用事業者 名古屋鉄道(名鉄)
製造所 日本車両製造
製造年 1976年(昭和51年)~1992年(平成3年)
製造数 330両(系列全体)
156両(6000系)
96両(6500系)
78両(6800系)
運用開始 1976年(昭和51年)12月21日
運用路線 名古屋本線(豊橋~伊奈)・豊田線・築港線・瀬戸線・各務原線・小牧線を除く全線
最高速度 100km/h(6000系)
110km/h(6500系・6800系:1996年以降)
備考 鉄道友の会第20回(1977年)ブルーリボン賞受賞(6000系)

名鉄6000系電車

クイックアクセスガイド

車両の概要

車両の性能・仕様

形式

編成

導入年次による変化

車両についての見解


車両の概要

名鉄6000系電車(めいてつ6000けいでんしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)が1976年から運用している電車です。

第二次世界大戦後の名鉄では初となる本格的な通勤用の電車として登場し、1977年には鉄道友の会よりブルーリボン賞受賞車両に選出されました。4両編成と2両編成という2種類の編成が登場しましたが、4両編成は1984年からは制御方式を一部変更するとともに接客設備を一部改善した6500系としての増備に移行し、2両編成も1987年から制御方式を一部変更した6800系としての増備に発展、1993年に後継車両として2代目3500系が登場するまで増備が続けられました。本項では、6000系・6500系・6800系の3形式についてまとめて記述します。

名鉄の社内では5000系(初代・廃車)以降の高性能車について「SR(スーパーロマンスカー)車」と呼称していることに倣い、本項でも「SR車」と表記しています。また、特定の編成について記す場合は、豊橋向きの先頭車の車両番号をもって編成呼称としています(例:豊橋向き先頭車の車両番号がク6001の編成であれば「6001編成」)なお、6800系は名鉄の社内では「6000系11次車~16次車」「6000系6800番台」などのように6000系の一部として扱われることもありますが、本項では「6800系」という表記に統一しています。


車両の性能・仕様

車体構造

車体は普通鋼製となっています。先頭車は全長18,950 mm、中間車は全長18,830 mmとなっており、車体幅は2,730mm、レール上面から床面までの高さは1,150mmとなっています。

前面は7700系(廃車)類似の貫通型高運転台で、平面ガラスで構成されたパノラミックウィンドウとしたほか、貫通扉は防水構造としました。前面下部には標識灯(尾灯兼通過標識灯)と乗務員室への通気口が設けられ、周囲をステンレス化粧板で装飾しました。

客用扉は幅1,300 mm・高さ1,808 mmの両開き扉を3箇所に配しました。扉の窓を小型化することによって障害事故防止対策としました。6000系では先頭車と中間車の見付を合わせるため、先頭車の扉中心間距離を5,660 mm・中間車の扉中心間距離は6,190 mmとしましたが、側面窓はパノラマカー(7000系・廃車)と同様の固定窓(連続窓)で、厚さ3 mm+3 mmの複層合わせガラスを使用しました。戸袋窓は設けられていません。

先頭部分の貫通扉上には半自動式の幕式行先表示器が設けられました。幕式行先表示器は列車種別と行き先を各々単独に操作できる構造で、種別10コマ・行き先駅名は50コマが収容可能となっています。しかし、名鉄の車両運用の都合上、全ての行き先を収容することは出来ないため、既存の行先板の使用を考慮しています。

車体の塗装デザインはスカーレット1色となっています。

主電動機・制御装置・台車(6000系)

主電動機は東洋電機製造製の直流直巻補極補償巻線付電動機(150kW、形式TDK-8050A形)となっています。また、制御方式は抵抗制御となっています。

台車は、住友金属工業製のS形ミンデン式の空気バネ台車となっています。

ブレーキ制御は、発電ブレーキ併用のHSC-D形電磁直通式と、非常用の自動空気式となっています。

主電動機・制御装置・台車(6500系)

主電動機は東洋電機製造製の直流直巻補極補償巻線付電動機となっています。また、制御方式は名鉄では初採用となる回生ブレーキ併用GTO界磁チョッパ制御となっています。

台車は、住友金属工業製のSU形ミンデン式の空気バネ台車となっています。

ブレーキ制御は、回生ブレーキ併用の電磁直通式となっています。

主電動機・制御装置・台車(6800系)

主電動機は東洋電機製造製の直流直巻補極補償巻線付電動機となっています。また、制御方式は回生ブレーキ併用界磁添加励磁制御となっています。

台車は、住友金属工業製のSU形ミンデン式の空気バネ台車となっています。

ブレーキ制御は、回生ブレーキ併用の電磁直通式となっています。

車内仕様・サービス設備

車内は車端部がロングシートで、客用扉の間はクロスシートとしました。

クロスシート部分は一方向き固定シートを、中央扉を境に車端方向を向くように配置しました。通路の幅を広く確保するために座席の幅は825mmとし、無駄スペースを省くために通路側の肘掛も設けていません。座面の高さは床から座面先端部分までが390mmで、背もたれの高さは床から775mmとしました。また、背もたれの傾斜は20度と、それまでの転換クロスシートよりも大きな角度をつけました。シートピッチは750mmです。ロングシート部分には、ビニール製の玉縁を入れることによって、1人あたりの着席区分を明確化しました。

車内通路には全長にわたって吊手(吊革)を設置しましたが、ロングシート部分では吊手(吊革)棒を設けてそこから吊るしているのに対し、クロスシート部分では天井の冷房装置のダクトカバーから直接吊り下げています。

室内の配色については、天井が白色で側壁はクリスタル模様の化粧板としました。また、座席の表地の色はブラウンとし、シルバーシートの背もたれのみライトブルーとしました。


形式

6000系は以下の4形式から構成されています。

ク6000形

上り方(豊橋方)の制御車(Tc)です。

サ6100形

中間付随車(T)です。

モ6200形

下り方(岐阜方)の制御電動車(Mc)です。

モ6300形

中間電動車(M)です。



6500系は以下の4形式から構成されています。

ク6400形

上り方(豊橋方)の制御車(Tc1)です。

モ6450形

中間電動車(M1)です。電動車ユニットの豊橋側の車両となっています。

ク6500形

下り方(岐阜方)の制御車(Tc2)です。

モ6550形

中間電動車(M2)です。電動車ユニットの岐阜側の車両となっています。



6800系は以下の2形式から構成されています。

ク6800形

上り方(豊橋方)の制御車(Tc)です。

モ6900形

下り方(岐阜方)の制御電動車(Mc)です。


編成

6000系の編成は4両・2両の2種類が存在しています。

4両

ク6000サ6100モ6300モ6200

2両

ク6000モ6200


6500系の編成は4両の1種類が存在しています。

4両

ク6400モ6450モ6550ク6500


6800系の編成は2両の1種類が存在しています。

2両

ク6800モ6900


導入年次による変化

1977年10月製造(6000系2次車)

4両編成2本が増備されました。前面は行先表示器上部の構造が変更されたほか、貫通扉の固定位置を変更して前面と同一平面にしました。また、方向幕が色地に白抜き文字に変更されました(1次車もこの時に変更)。

1978年製造(6000系3次車)

2両編成が登場し、6本が増備されました。基本仕様は2次車と同様のものとなっています。

1979年製造(6000系4次車)

4両編成2本が増備されました。当時製造されていた100系に準じて客用扉の窓が大型化されたほか、前面の行先表示器が大型化されました。また、レール上面から床面までの高さは1,110mmとなりました。

1980年製造(6000系5次車)

4両編成5本と2両編成5本が増備されました。この時の増備から省エネルギーの観点による仕様変更が行われ、側面窓が開閉式(一段上昇窓)に変更されたほか、冷房装置は10,500kcal/hの能力を有するRPU-3004A形を2台搭載に変更しました。また、新たに熱交換型換気装置(ロスナイ)を設置することによって熱損失の防止を図り、電動発電機は、容量40kVAのCLG-367形に変更されました。さらに、非常用の自動空気式ブレーキの併設が省略されたほか、当初より列車無線車上装置を装備したものとなりました。

1981年製造(6000系6次車)

4両編成3本と2両編成2本が増備されました。車体の各部で軽量化を図ったほか、側面窓隅の寸法が変更されました。

1982年製造(6000系7次車)

4両編成3本と2両編成2本が増備されました。基本仕様は6次車と同様のものとなっています。

1983年製造(6000系8次車)

4両編成4本と2両編成3本が増備されました。基本仕様は6・7次車と同様のものとなっています。

1984年製造(6500系1次車・6000系9次車)

この時から4両編成は6500系としての増備に変更され、4本が製造されました。

6500系の外観は、正面が非貫通となり、正面下部左右には標識灯が設けられました。また、正面窓上と客用扉の上半分をライトグレーに塗装し、正面窓下部にはステンレス製の飾り帯を設けました。編成の組み合わせによって扉位置が変わることを回避するため、先頭車・中間車とも扉中心間距離を5,660mmに統一し、座席もクロスシート部分が減少してロングシート部分が増加しました。座席自体の構造を見直し、それまでの6000系と比較してシートピッチを50mm拡大、幅を100mm・背もたれ高さを110mm拡大しました。補助電源装置は、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)素子を用いた容量40kVAのBS-477-C形静止形インバータ(SIV)に変更されました。6500系では界磁チョッパ方式と回生ブレーキを採用しました。制御装置は1台の制御器で8基の電動機の制御を行う方式(1C8M)の回生ブレーキ付界磁チョッパ制御装置で、EP-39-A形と称するものとなりました。界磁チョッパ制御の採用は名鉄では初めてのものとなっています。台車は住友金属工業製のSU形ミンデン式の空気バネ台車が採用されました。電動台車がFS521A形・付随台車がFS098A形で、いずれも基礎制動装置はシングル式(片押し式)で固定軸距は2,100mmです。

2両編成は6000系のままで4本が増備されましたが、車体や内装は6500系と同一のものとなりました。台車は電動台車がFS521B形・付随台車がFS098B形で、6500系の台車とはブレーキシリンダの直径が異なるためサフィックスが変更されました。いずれも住友金属工業製のSU形ミンデン式の空気バネ台車となっています。

1985年製造(6500系2次車・6000系10次車)

6500系4本と6000系2両編成4本が増備されました。前面の標識灯が発光ダイオード(LED)を使用した1灯式に変更され(6500系1次車も後年に変更)、運転室後部のロングシート長さを860mmから920mmに変更したほか、両端脇のクロスシート部の仕切り板と中央部のロングシート位置を扉側に70mm寄せました。

1985年製造(6500系3次車)

6500系5本が増備されました。乗務員室の仕切り壁の配色を、側壁と同様のクリーム色縦縞模様に変更しました。

1987年上半期製造(6500系4次車)

6500系2本が増備されました。側面には当時製造されていた5700系と同様に、側面に種別・行先表示器を設けたほか(6000系1次車~4次車・8次車と5次車・7次車の一部編成も後年に設置)、集電装置は離線を少なくするために剛体架線用のPT4214S-A-M形に変更されました。

1987年下半期製造(6500系5次車・6800系1次車)

この時からは2両編成の増備は回生ブレーキを付加した6800系に変更され、6500系2本と6800系4本が製造されました。

6800系では界磁添加励磁制御を採用しました。制御装置は1台の制御器で4基の電動機の制御を行う方式(1C4M)の界磁添加励磁制御装置で、CB-16C-40A形と称しています。台車は電動台車がFS521C形・付随台車がFS098C形で、6500系の台車とはブレーキシリンダの直径が異なるためサフィックスが変更されました。

1988年製造(6800系2次車)

6800系4本が増備されました。台車は軸受け構造を片つば式に変更したFS521D形・FS098D形に変更されました。

1989年製造(6500系6次車・6800系3次車)

6500系3本と6800系15本が増備されました。この時の増備から車体構造は大幅に変更され、車体幅を10mm拡大しました。前面は大型曲面ガラスを2枚使用したものとなり、あわせて乗務員室の仕切り壁の窓を拡大し、客室からの前面展望を向上させました。側面窓は連続窓風のスタイルに変更となり、一部の窓は一段下降窓としたほか、窓回りはレモンゴールドの金具で押さえる方法に変更しました。内装についても、座席形状を見直し、ヘッドレストを装備する(後年に撤去された編成が存在する)とともに、シートピッチを840mmに拡大したほか、ロングシートも100系3次車と同様の形状に変更されました。また、乗務員室内の色彩がミストグリーンからクリーム色に変更されたほか、6500系の台車は軸受け構造を片つば式に変更した耐雪ブレーキつきのFS521E形・FS098D形に変更されました。

1990年製造(6500系7次車・6800系4次車)

6500系2本と6800系8本が増備されました。基本仕様は6500系6次車・6800系3次車と同様のものとなっています。

1991年製造(6800系5次車)

6800系4本が増備されました。この時の増備から、6800系はオールロングシートに変更され、立客の視界を確保するため客用扉の窓が上方に大型化されたほか、扉窓の固定方法が金具によって押さえる方式に変更されました。内装の配色も変更され、6750系2次車(廃車)と同様のパープル系に、化粧板がクリーム色の様式に変更されました。車内のつり革も枕木方向に増設されました。台車は1000系1015編成・1016編成の台車交換により発生した台車に軸ばね調整を行ったFS539A形・FS039A形に変更されました。

1992年製造(6500系8次車・6800系6次車)

6500系2本と6800系4本が増備されました。6500系もオールロングシートに変更されたほか、車内のロングシート長さを一部変更することによって扉付近のスペースを広くしました。また、車号板の文字色が黒から群青色に変更されています。


車両についての見解

現在、準備中。