名鉄3300系(3代)・3150系電車
運用事業者 | 名古屋鉄道(名鉄) |
---|---|
製造所 | 日本車両製造 |
製造年 | 2004年(平成16年)~2019年(平成31年) |
製造数 |
104両(系列全体) 60両(3300系) 44両(3150系) |
運用開始 | 2004年(平成16年)11月15日 |
運用路線 | 蒲郡線・三河線・豊田線・各務原線・広見線(新可児~御嵩)・小牧線を除く全線 |
最高速度 | 120km/h |
備考 |
クイックアクセスガイド
名鉄3300系電車(めいてつ3300けいでんしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)が2004年から運用している電車です。
本項では、4両編成の3300系電車のほか、同一設計で2両編成の3150系電車についても記述します。
車体構造
車体は300系をベースとした日本車輌製造のブロック工法によるステンレス車体ですが、地下鉄直通用ではないため、300系の20m級4ドアから19m級3ドアに変更されています。
断面は、300系ではストレートなものでしたが、本系列では車体裾が3700系・3100系と同様に台枠部で鋭角に絞ったものになっています。
300系では屋根上にあった車外スピーカーは、本系列では取り付け位置が車体側面に変更され、先頭車で5個、中間車で6個設置されています。
前頭部は事故で損傷した際に修理がしやすいように普通鋼製とされ、この部分にはステンレス車体との一体感を出すためシルバーメタリック塗装が施されています。前面と側面の窓下には名鉄カラーのスカーレットの帯が細く配されていますが、前面部については側面と比較してより細くなっています。
前面のデザインは300系をベースとした丸みを帯びた貫通型で、非常時に連結されている他編成(本系列もしくは後述する3150系同士の場合のみ)への乗務員の移動を容易にするため、前面の非常用貫通扉の位置が300系と比較して中央寄りに変更されています。また、前面の灯具類は300系では上部に前照灯、排障器(スカート)の上部に尾灯を兼ねた標識灯が設置されていますが、本系列では腰部に横並び(前照灯が内側となる)で配され、一体感を出すため、灯具周りには左右間を結ぶダークグレーの帯パーツが配されています。なお、前照灯はHIDランプ、標識灯はLEDランプとなっています。
300系で設置されていた運行番号表示器は本系列では使用されないため省略されています。
電気連結器を装備する関係で、前面のスカートは2000系などと同一の左右の2分割タイプで、グレーに塗装されています。
客室側窓は、扉間はクロスシート(2005年度以前に製造した車両のみ)・ロングシートとも8名分の座席配置にほぼ合致する大型2連固定窓、車端部は両先頭車の運転室側は3500系などと同様の小窓で、連結面側および中間車は、コストダウンを図るため、上部内折れ開閉式の大型窓とされています。また、すべての窓には300系と同様にUVカットガラスが使用され、カーテンが省略されています。前面および側面の種別・行先表示器は従来の字幕式ではなく、2000系などと同様の三菱電機製オーロラビジョンR-STAYが採用されました(2008年度以降に製造した車両はフルカラーLED)。床面高さは1,100mmとなっています。
主電動機・制御装置・台車
主電動機は東洋電機製造製のかご型三相誘導電動機(170kW)を各電動車に4個装備しています。また、制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御となっています。3300系と3150系で設計を共通化するため、これまでの4両組成を組む系列(3500系・3700系のほか、1000系や6500系など)とは異なり、M車(電動車)は1M方式となり、4両固定編成を組む車両としては6000系以来となるMTユニット方式となりました(300系もMM'ユニットのように見えるが主回路は1M方式)。
台車は、ボルスタレス台車となっています。
ブレーキ制御は、純電気ブレーキ搭載の電気指令式を採用し、回生率を向上させています。そのため、3500系などの電気指令式ブレーキの車両との併結に対応させるための読替装置が搭載されています。。
車内仕様・サービス設備
車内は、厳しい空間的制約により地上設備の強化が行えず、列車の増発や増結が困難な名鉄名古屋駅を通る路線において、混雑の緩和とクロスシートを好む利用客の要望を両立させる解決策として、先に小牧線で就役した300系で採用された転換クロスシート(2005年度以前に製造した車両のみ)とロングシートを扉間ごとに交互に配置する構成になっています(2007年度以降に製造した車両はオールロングシート)。クロスシートの前後間隔は標準の900mmであり、通路幅は640mmとなっています。なお、地上用の3扉通勤形車両がクロスシート装備で新製されたのは1990年の6500系7次車および6800系4次車以来14年ぶりのこと(地上用の3扉通勤形での転換クロスシート装備は初の事例となる)でした。
つり革は三角形のもので、これまでの名鉄通勤車と異なりすべてパイプを通して吊されています(従来の車両は冷房ダクトまたは天井に金具を付けて直接吊していた)。本系列までは従来の転換クロスシート装備車両と同様、クロスシート部分にはつり革がありません。なお、客室天井高さは2,270mmでJR東日本E231系などと同等のものとなっています。また300系以降の標準設計としては、扉上部のLED案内表示装置の取付けに合わせて、幕板部の車内側(荷棚から上)が全体に内傾している点が挙げられています。連結面の貫通扉の窓は縦長で大型のものとなっています。
バリアフリー対応としてドアチャイムを装備するほか、弱視者への注意喚起のため、客用扉部分の床は黄色のカラーステップとされています。両先頭車の運転席直後には車椅子スペースが設けられ、車椅子スペースとして使用されない場合の座席定員を増やすため、この部分には跳ね上げ式の折り畳み式補助椅子が設置されました(2007年度以前に製造した車両のみで、これまでの車両は単なる立席スペースであった)。この補助椅子の座面の裏側には車椅子固定用のベルトが装着され、窓上部には荷物棚も設置されています。各車両とも1両あたりで4名分の優先席が設けられています(2008年度以降に製造した車両は1両あたりで10名分に増加)。また、床敷物はノンスリップタイプのものが採用されています。
各車両とも2段表示が可能な3色LED式の車内案内表示装置が千鳥配置で1両あたりで3台設置され、通常は上段に種別・行き先と次の停車駅の切り替え表示が、下段は最大で8つ先までの停車駅または文字ニュースが表示されています(2014年度以降に製造した車両はLCD式)。また、車端部にはLED式による号車表示器が設置されています(2014年度以降に製造した車両はLCD式の車内案内表示装置に表示されるため、設置されていない)。
基本的に自動放送装置などは搭載されていませんが、2200系や1700系との併結時はこれらの編成からの自動放送と車内メロディが流れるようになっています。
室内の配色については、300系と同様のライトグレー系で、化粧板は微粒柄入り、座席モケットは柄入りで、色は一般席が青系、優先席が赤系となっています。側扉、妻面貫通扉、座席部分のポールはローズピンクとなっています。
3300系は以下の4形式から構成されています。
ク3300形
上り方(豊橋方)の制御車(Tc)です。
モ3350形
中間電動車(M)です。
モ3400形
下り方(岐阜方)の制御電動車(Mc)です。
サ3450形
中間付随車(T)です。
3150系は以下の2形式から構成されています。
ク3150形
上り方(豊橋方)の制御車(Tc)です。
モ3250形
下り方(岐阜方)の制御電動車(Mc)です。
3300系の編成は4両の1種類が存在しています。
4両
ク3300 | モ3350 | サ3450 | モ3400 |
3150系の編成は2両の1種類が存在しています。
2両
ク3150 | モ3250 |
2005年製造(3300系2次車)
4両編成4本が増備されました。これにより7500系は同年8月7日を最後に営業運転を終了しました。
運転室直後の折り畳み式補助椅子が2200系と同様の肘掛け付きのものに変更されています。また、天井中央部のパネルがFRP成型板からアルミデコラの平板になるなど変化も見られています。さらに、乗務員扉の小窓の形状も(JRでよくみられるラッチ式タイプのものに)変更となりました。
なお、2006年8月から2010年5月まで3305編成の岐阜方先頭車であるモ3405号はインバータ装置が新型のものに、片側の台車の主電動機が全閉外扇型のものにそれぞれ交換され、各種試験が行われていました。このうち、全閉外扇型主電動機については2008年登場の瀬戸線・4000系で本採用となりました。
2007年製造(3150系2次車)
2両編成5本が増備されました。これにより7000系の4両編成3本と6両編成1本が廃車されました。
この増備車では、車内座席のオールロングシート化、座席周囲の手すりの色をピンクからライトブルーパープルに変更したうえで着色範囲も縮小・扉横の手すりの無塗装化、オーロラビジョンR-STAYの照明が白色LEDに変更されました。また、新製時より自動給電装置とEB装置を搭載し、3300系2次車と同様に天井周りにも変化が見られます。オールロングシートへの変更により全体定員は各車117名から125名に、座席定員は44名から46名へと増えました。
2008年6月製造(3150系3次車)
2両編成4本が増備されました。
2次車同様のオールロングシート仕様で、座席の形状も従来通りですが、先に登場した5000系に準じたマイナーチェンジが行われ、前・側面の種別・行先表示器はオーロラビジョンR-STAYからフルカラーLED式のものに変更されました。他にも、優先席が各車4名分→10名分に増加し、優先席エリアのつり革とスタンションポールは黄色のものを採用し、区別を図りました。運転席直後の車椅子スペースにあった荷棚と折りたたみ椅子は廃止され、車椅子固定用のベルトのみとなっています。そのため座席定員は再び各車44名となりました。また、運転室側の消火器の設置箇所は車椅子スペース上部から車掌台側の座席の横に変更され、設置箇所の化粧板には欠き取りが発生しました。
2008年12月製造(3150系4次車)
2両編成3本が増備されました。基本仕様は3次車と同様のものですが、側扉付近の床が黄色に着色されています。しかし、同じく扉付近の床面に黄着色の施されている4000系や1700系(2300系)とは異なり、床敷物は濃淡ブルーグレーの2色のままとされています。この4次車就役にともない、4両編成3本が残されていた7000系は定期運用を終了しました。
2015年1月製造(3300系3次車)
4両編成1本が増備されました。この編成は瀬戸線喜多山駅高架工事に伴う車両不足解消のために瀬戸線に一時的に投入され、工事完了後は本線系統へ転属する見込みとなっています。そのため、搬入時点では名鉄籍に含まれておらず、名鉄籍となったのは瀬戸線での運用が開始された2016年9月17日からとなっています。
3300系が増備されるのは10年ぶりの事で、3150系4次車に準じた変更とともに、座席のスタンションポールを優先席部のみ一部オレンジ着色、その他は無塗装のつや消し仕上げのものに変更し、.車内案内表示装置を3色LED式からワイド画面のLCD式のものに変更しました(この編成のみ4000系同様全側扉上部に搭載されている)。また、台車を4000系で採用されたモノリンク式ボルスタ台車のFS571形に変更し、正面下部のスカートを大型のものにしました。さらに、運転台のモニタ及び、マスコンの形状が変更され、連結器には瀬戸線では使わない電連や4000系と連結するためのジャンパ線を設置しました。
2015年4月・5月・8月製造(3300系4次車・3150系5次車)
4両編成1本と2両編成2本が増備され、3150系が増備されるのは7年ぶりの事となりました。基本仕様は3次車と同様のものですが、スカートはグレーからスカーレットに、前面の灯具類の上部の塗装が黒に、灯具類より下部の塗装がスカーレットに変更されています。また、新たに側面の窓上にスカーレットの細めのライン1本が追加されました(3300系2次車までと3150系4次車までの編成にも後年に実施)。なお、車内の案内表示装置は3次車と同一のLCD式ですが、配置は従来車と同様の千鳥配置に変更されています。これらの編成の就役にともない、1380系と1850系(1編成を除く)が廃車となりました。
2016年製造(3300系5次車・3150系6次車)
4両編成2本と2両編成1本が増備されました。基本仕様は3300系4次車・3150系5次車と同様のものとなっています。これらの編成の就役にともない、6000系の4両編成2本が廃車となりました。
2017年製造(3300系6次車・3150系7次車)
4両編成2本と2両編成3本が増備されました。基本仕様は3300系4・5次車・3150系5・6次車と同様のものとなっています。これらの編成の就役にともない、5300系の2両編成と、5700系2本、6000系の2両編成2本が廃車となりました。2両編成の3150系はこの増備をもって、製造を終了しました。
2018~2019年製造(3300系7次車)
4両編成4本が増備されました。基本仕様は3300系4~6次車と同様のものとなっています。同一形式としては2004年秋から14年半の長きに渡って導入が続いてきましたが、新形式9500系の導入が発表されたため、3315編成を最後に製造終了となりました。
現在、準備中。