名鉄1000-1200系・1800系電車
運用事業者 | 名古屋鉄道(名鉄) |
---|---|
製造所 | 日本車両製造 |
製造年 | 1988年(昭和63年)~1997年(平成9年) |
製造数 |
180両(系列全体) 84両(1000系) 48両(1200系) 18両(1800系) 24両(1030-1230系) 6両(1850系) |
運用開始 | 1988年(昭和63年)7月8日 |
運用路線 | 名古屋本線・常滑線・空港線・河和線・知多新線・津島線・尾西線(佐屋~津島)・犬山線・竹鼻線・羽島線 |
最高速度 | 120km/h |
備考 |
クイックアクセスガイド
名鉄1000系電車(めいてつ1000けいでんしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)が1988年から運用している特急形電車です。
1960年代から1970年代半ばの頃の名鉄特急は7000系(パノラマカー・廃車)が中心となって運用されてきましたが、当時の特急は基本的に特別料金不要の種別であったことや、特急の他に急行や普通などにも使用されていたことから、本格的な有料特急専用車両ではありませんでした。バブル景気真っ只中の1988年に登場した本系列はデッキ付きで全席リクライニングシートなど特急専用車両を指向して作られているのが特長となっています。
愛称もパノラマカーの後継と位置付けられており、普通列車用に改造された1380系(廃車)と一部特別車特急の増結用1800系・1850系(廃車)を除き「パノラマSuper」を名乗っています。本項では、1200系・1800系の2形式についてもまとめて記述します。なお、1000系・1200系のリニューアルが開始された2015年度以降は1200系が1000系(特別車)・1200系(一般車)を合わせた編成全体の総称となっています。
車体構造(1000系)
車体は普通鋼製となっています。先頭車は全長20,380 mm、中間車は全長19,730 mmとなっています。また、車体幅はほぼ限界一杯の2,740mmとし、8800系に比べて側構の内傾が緩く立っています。 そのため、一般客室部分の屋根高さは従来通り低めとなっていますが、断面積が拡大されました。
前面は運転台を1階部分に設置し、展望席を中2階とする8800系(パノラマDX・廃車)の流れを汲むハイデッカー構造となっていますが、前面窓・側窓ともに曲面ガラスとなり洗練度が増しています。灯具類は、従来のシールドビーム前灯とLED標識灯(尾灯も兼ねる)にシールドビームのフォグランプを加えた3連式となり、間に「パノラマSuper」の愛称表示を備えました(愛称表示部分は後の更新改造により、LED式方向幕となった)。
客用扉は幅800mm(展望席次位のみ940mm)の車内側開閉仕様の折戸を2箇所に配しました。側面窓は8800系(廃車)から採用された隅のRが大きい幅1700mm(一部に狭窓あり)・天地寸法900mmの独立型固定窓となっています。
車体の塗装デザインは、登場時は白と赤を基調とした塗り分けがなされており、8800系電車(パノラマDX・廃車)と比べると、白はクリーム色がかっておらず純白に近く、車体裾(台枠)部分は8800系のグレーに対してベージュとなっていました。更新改造を受けた後は、赤を基調に、窓回りと灯具類の下の部分を白とし、そこに1本の細帯を引いた塗り分けとなっています。
車体構造(1200系)
車体は普通鋼製となっています。先頭車は全長18,900 mm、中間車は全長18,830 mm(3号車のみ19,930 mm)となっています。また、車体幅は2,740mmとしました。
前面は5700系に始まる客室からの眺望を考慮した大型曲面ガラス使用の形状で、愛称表示や灯具周りを1000系に似せたものとなっています。(愛称表示部分は後の更新改造により、撤去された)。
客用扉は幅1,300 mmの両開き扉を3箇所に配しました。側面窓は1000系と同じようなもので、隅のRが大きいガラス幅1,350m・間中幅900mmの独立型固定窓となっています。
車体の塗装デザインは、登場時は1000系と同じ白と赤を基調とした塗り分けがなされていましたが、更新改造を受けた後は、赤を基調に、窓回りと愛称表示があった部分を白とし、そこに1本の細帯を引いた塗り分けとなっています。
車体構造(1800系)
車体は普通鋼製となっています。全長は18,900 mmとなっています。また、車体幅は2,740mmとしました。
前面は1200系と同じものとなっていますが、愛称表示部分が登場時から存在していません。
客用扉は幅1,300 mmの両開き扉を3箇所に配しました。側面窓は1000系と同じようなもので、隅のRが大きいガラス幅1,350m・間中幅900mmの独立型固定窓となっています。
車体の塗装デザインは、更新前後ともに、1200系と同じものとなっています。
主電動機・制御装置・台車・運転機器(1000系)
主電動機は東洋電機製造製の複巻整流子電動機(150kW、形式TDK-8225A形)となっています。また、制御方式は回生ブレーキ併用GTO界磁チョッパ制御となっています。
台車は、SU形ミンデン式の空気バネ台車となっていましたが、一部特別車編成用の車両については、組成変更後1993年までに当初から増圧ブレーキ・ABSに対応した設計(付随台車も片押し制輪子)のものに交換されました。
ブレーキ制御は、回生ブレーキ併用の電磁直通式となっており、技術的に同じブレーキシステムを有する5700系・5300系、6000系・6500系・6800系との総括制御(連結)運転が可能となっています。
警笛には「パノラマカー」7000系以来の伝統であるミュージックホーンを装備していますが、空気笛は鉄道線では初の高低2音吹鳴(デュアルトーン)となっています(名鉄としての初採用は前年の600V鉄軌道線直通用モ770形)。
主電動機・制御装置・台車・運転機器(1200系)
主電動機は東洋電機製造製の複巻整流子電動機(150kW、形式TDK-8225A形)となっています。また、制御方式は回生ブレーキ併用GTO界磁チョッパ制御となっています。
台車は、ボルスタレス台車となっています。
ブレーキ制御は、回生ブレーキ併用の電磁直通式となっています。
警笛には1000系と同じく、ミュージックホーンと高低2音吹鳴(デュアルトーン)の空気笛を装備しています。
制御装置・台車・運転機器(1800系)
制御方式は回生ブレーキ併用界磁添加励磁制御となっています。
台車は、ボルスタレス台車となっています。
ブレーキ制御は、回生ブレーキ併用の電磁直通式となっています。
警笛は1000系や1200系とは異なり、ミュージックホーンが搭載されていません。
車内仕様・サービス設備(1000系)
車内は全車両が特別車仕様で回転式リクライニングシート(展望室部分は回転しない)をシートピッチ1,000mmで設置しました。回転機構は手動の他に自動も可能で終着駅での時間短縮に用いられています。
旅客用案内装置として、デッキと客室の境にLED表示器(後の更新改造により、LCD方式となった)を設置しており、列車種別や停車駅、走行中は列車速度、中日新聞によるニュース、名鉄からのお知らせなどを流しています。ニュースなどのデータ更新は、主要駅に設置されているデータ転送装置からの受信を用いて行っています。また、ラジオの受信が可能で屋根上にはアンテナが設けられています。このほかに登場時はカード式公衆電話と清涼飲料水の自動販売機も設置していたが、いずれも後年撤去されました。
編成中にトイレ(当時の3号車および8両編成時7号車:モ1150)と車掌室(当時の2号車および8両編成時6号車:モ1050)が1か所ごとに備えていました。
室内の配色については、天井が白色で側壁は白色系の化粧板としました。また、座席の表地の色は灰色とし、背もたれ部分の脱着式クッション(枕)は当初は青となっていました。
車内仕様・サービス設備(1200系)
車内は転換クロスシートに扉付近収納式補助座席を装備しました。転換クロスシートはセミバケットタイプで吊り下げ式暖房器を装備し、足元スペースも拡大しました。しかし、側窓2枚に座席3脚というデザインの関係で窓のピッチと合致しない箇所が存在しています。名古屋本線と競合する東海旅客鉄道(JR東海)が東海道本線新快速用として一足先に投入した311系と同様の3扉転換クロス車ですが、車体長が短いこともあって補助座席の比率が多め(2人掛8脚)となっています。なお、補助座席は5700系・5300系のものと類似の形状で、席を立っても自動収納されない点が異なっていましたが、後に改造され使用しない時は収納されるようになりました。先頭車の乗務員室背後のみ2人掛けのロングシートで、1992年以降に落成した車両はその運転台側が車椅子スペースとなっています(後の更新改造により、3号車豊橋方にも設置)。
旅客用案内装置として、1000系と同じくデッキと客室の境にLED表示器(後の更新改造により、LCD方式となった)を設置しています。
編成中にトイレか車掌室のどちらかが1か所(3号車)に備わっています(1000系との組成の際のもともとの1000系の編成方によって異なる)。
室内の配色については、天井が白色で側壁は白色系の化粧板としました。また、座席の表地の色は本系列で初採用となった織物様の紫系とし、以降7000系、5700系などの転換クロスシートのモケットの変更にも波及しました(後の更新改造により、300系以来の柄となり2200系一般車と仕様が統一された)。
車内仕様・サービス設備(1800系)
車内は1200系とほぼ同一のものとなっています。
旅客用案内装置として、1200系と同じくデッキと客室の境にLED表示器(後の更新改造により、LCD方式となった)を設置していますが、1380系と併結して運用に入ったときのみ、電車のデザインの内容が1200系のものから3500系・3700系と同じものとなっていました。
1000系や1200系に搭載しているドアの開閉前の注意喚起付きの自動放送や日本語と英語の2ヶ国語対応の自動放送装置は搭載していませんが、1000-1200系との併結時にはそれらの編成の自動放送が流れるようになっています。
室内の配色については更新前後ともに、1200系とほぼ同じものとなっています。
1000-1200系は以下の9形式から構成されています。
ク1000形
上り方(豊橋方)の制御車(Tc)です。
モ1050形
中間電動車(M)です。車掌室を搭載しています。
ク1100形
上り方(豊橋方)の制御車(Tc)です。組成変更前は下り方(岐阜方)となっていました。
モ1150形
中間電動車(M)です。トイレを搭載しています。
サ1200形
中間付随車(T)です。
モ1250形
中間電動車(M)です。モ1050形の対となる車両で、トイレを搭載しています。
モ1350形
中間電動車(M)です。モ1150形の対となる車両で、車掌室を搭載しています。
モ1400形
下り方(岐阜方)の制御電動車(Mc)です。
モ1450形
中間電動車(M)です。
1800系は以下の2形式から構成されています。
ク1800形
上り方(豊橋方)の制御車(Tc)です。
モ1900形
下り方(岐阜方)の制御電動車(Mc)です。
1000-1200系の編成は6両の1種類が存在しています。
6両
ク1000 ク1100 | モ1050 モ1150 | モ1250 モ1350 | サ1200 |
特別車 | 特別車 | 一般車 | 一般車 |
---|---|---|---|
モ1450 | モ1400 | ||
一般車 | 一般車 |
1800系の編成は2両の1種類が存在しています。
2両
ク1800 | モ1900 | ||
一般車 | 一般車 |
1989年製造(1000系2次車)
4両編成3本が増備されました。1次車にあった座席の置き枕がカバーに変更されました(1次車も後年に変更)。
1990年製造(1000系3次車)
4両編成4本が増備されました。増圧ブレーキが設置されました(他の編成もこの時に設置)。
1991年製造(1200系1次車・1800系1次車)
4両編成8本と2両編成5本が増備されました。これに伴い、1000系3次車が編成替えを行いました。
1992年製造(1200系2次車・1030-1230系1次車・1850系)
6両編成3本と4両編成4本、2両編成3本が増備されました。これに伴い、1000系2次車が1編成を除いて編成替えを行いました。
1993年製造(1030-1230系2次車)
6両編成1本が増備されました。この編成は2002年に起きた衝突脱線事故により、特別車の部分が廃車となり、一般車の部分が改造を受けて、1380系として運行されていました(塗色はスカーレット1色となった、現在は廃車)。なお、長年名鉄の象徴であった「赤い電車」が登場したのも特急車以外ではこれが最後となりました(それ以降は既に300系で採用されているオールステンレス製車体へ移行)。
1994年製造(1000系4次車)
4両編成3本が増備されました。客用扉の折戸の幅が15mmずつ拡大され、815mm(展望席次位のみ955mm)となりました。また、側壁が濃いページュ系の化粧板となりました(後の更新改造により、現在運用している編成もこの仕様に変更された)。
1996年製造(1800系2次車)
2両編成4本が増備されました。基本仕様は1次車と同様のものとなっていますが、前年にボルスタレス台車にヨーダンパを設置したことを受けて、新製時から台車にヨーダンパが設置されています。
1997年製造(1000系5次車)
4両編成2本が製造されました。基本仕様は4次車と同様のものとなっていますが、新製時から台車にヨーダンパが設置されています。
現在、準備中。