紀勢本線(亀山~新宮)

路線について

所在地 三重県、和歌山県(亀山~新宮間として)
駅数 41駅(亀山~新宮間として)
開業 1891年(明治24年)8月21日
距離 180.2km(亀山~新宮間として)
複線以上が存在しているか ×
電化区間が存在しているか ×
最高速度 100km/h(亀山~新宮間として)

紀勢本線(亀山~新宮)路線図


クイックアクセスガイド

路線の概要(全体として)

路線の歴史(亀山~新宮)

沿線の概況(亀山~新宮)

駅の紹介(亀山~新宮)

車両(亀山~新宮)


路線の概要(全体として)

紀勢本線(きせいほんせん)は、三重県亀山市の亀山駅から新宮駅を経て和歌山県和歌山市の和歌山市駅に至る鉄道路線(幹線)です。亀山駅~新宮駅間が東海旅客鉄道(JR東海)、新宮駅~和歌山市駅間が西日本旅客鉄道(JR西日本)の管轄となっています。

紀伊半島を海沿いに走る路線です。全通したのは日本の幹線級の路線としては比較的遅く、1959年(昭和34年)のことでした。新宮駅を境に、東側のJR東海が管轄する区間は非電化であり、西側のJR西日本が管轄する区間は直流電化されています。

名古屋駅からは関西本線と伊勢鉄道伊勢線を、京都駅・新大阪駅からは東海道本線・大阪環状線・阪和線をそれぞれ経由して当路線へ特急列車が直通しています。JR西日本管轄区間では、カーブを高速で通過可能な振り子式の車両が一部の特急列車で使用されています。

亀山駅~新宮駅間はJR東海東海鉄道事業本部の管轄(該当全区間直轄)、新宮駅~和歌山市駅(構内のぞく)間はJR西日本和歌山支社の管轄(紀和駅~和歌山市駅間のうち、分界点~和歌山市駅間の1.0kmは南海電鉄の所有となっており、JR西日本に貸与している)です。


路線の歴史(亀山~新宮)

1891年8月21日関西鉄道津支線亀山~一身田間開業。その区間内に下庄駅が開業。
1891年11月4日一身田~津間開業。
1893年12月31日参宮鉄道津~相可(初代、現在の多気駅)(~宮川)間開業。その区間内に阿漕駅・高茶屋駅・六軒駅・松阪駅・徳和駅が開業(他にも1駅あり)。
1907年10月1日関西鉄道と参宮鉄道が国有化。
1909年9月29日阿漕~高茶屋間が複線化。
1909年10月12日国有鉄道線路名称制定により、亀山~相可(~山田、現在の伊勢市駅)間が参宮線となる。
1911年11月7日松阪~徳和間が複線化。
1923年3月20日紀勢東線相可口~栃原間開業。その区間内に相可駅(2代目)・佐奈駅が開業。相可駅(初代)を相可口駅に改称。
1923年9月25日栃原~川添間開業。
1925年8月15日川添~三瀬谷間開業。
1926年8月18日三瀬谷~滝原間開業。
1927年7月3日滝原~伊勢柏崎間開業。
1927年11月13日伊勢柏崎~大内山間開業。
1928年11月8日阿曽駅を新設。
1930年4月29日大内山~紀伊長島間開業。
1932年4月26日紀伊長島~三野瀬間開業。
1934年12月19日三野瀬~尾鷲間開業。その区間内に船津駅・相賀駅が開業。
1940年8月8日紀勢西線新宮~紀伊木本(現在の熊野市駅)間開業。その区間内に鵜殿駅・阿田和駅・紀伊市木駅・神志山駅・有井駅が開業。
1944年8月1日阿漕~高茶屋間、松阪~徳和間が単線化。
1946年6月11日大内山~紀伊長島間が票券閉塞式から通票閉塞式に変更。
1956年4月1日紀伊木本~新鹿間開業。その区間内に大泊駅が開業。
1956年10月15日六軒事故が発生。
1957年1月12日尾鷲~九鬼間開業。その区間内に大曽根浦駅が開業。
1958年4月23日九鬼~三木里間開業(旅客営業のみ)。
1959年7月15日三木里~新鹿間が開業し、全通。亀山~新宮{~和歌山(初代、現在の紀和駅)}間が紀勢本線となる。相可口駅を多気駅に、紀伊木本駅を熊野市駅に改称。三瀬谷~九鬼間で貨物営業が開始。
1959年9月26日伊勢湾台風により、徳和~多気間の櫛田川橋梁が流失した(同年10月17日に仮橋梁を設置して復旧)。
1961年12月11日波田須駅を新設。
1965年2月27日大内山~紀伊長島間に梅ケ谷信号場(現在の梅ケ谷駅)を開設。
1965年3月1日名古屋~天王寺間に気動車特急「くろしお」が運転を開始。
1965年11月1日梅ケ谷信号場が駅に昇格し、梅ケ谷駅となる。
1978年10月2日名古屋~紀伊勝浦間に気動車特急「南紀」が運転を開始し、「くろしお」が同区間での運転を終了する。
1983年12月21日亀山~新宮間でCTCが導入される。
1987年4月1日国鉄分割民営化。東海旅客鉄道(JR東海)が継承。なお、亀山~新宮(~紀伊佐野)間の第二種鉄道事業は日本貨物鉄道(JR貨物)が継承。
1989年2月20日松阪~多気間でワンマン運転を開始。
1990年3月10日快速「みえ」が運転を開始し、亀山~松阪間でワンマン運転を開始。
1992年3月14日特急「南紀」の使用車両がキハ82系気動車からキハ85系気動車(ワイドビュー)に置き換え。これによりキハ82系気動車による定期特急列車が全国から消滅。
2001年3月3日多気~新宮間でワンマン運転を開始。
2004年9月29日~10月26日台風21号による紀伊長島~三野瀬間の赤羽川橋梁の橋脚が流失したことにより、紀伊長島~船津間で一時不通となった。
2008年4月1日鵜殿~新宮(~紀伊佐野)間の貨物営業{日本貨物鉄道(JR貨物)の第二種鉄道事業}を廃止。
2009年7月15日紀勢本線全通50周年記念として亀山~白浜間でキハ85系による臨時快速「紀勢本線全通50周年記念号」が運転された。
2011年9月4日台風12号による被害で、多気~新宮(~白浜)間が不通となった。
2011年9月6日多気~尾鷲間が再開。
2011年9月7日尾鷲~熊野市間が再開。
2011年10月11日熊野市~新宮間が再開。
2011年12月3日台風12号による不通区間が解消される。
2016年4月1日亀山~鵜殿間の貨物営業{日本貨物鉄道(JR貨物)の第二種鉄道事業}を廃止。

沿線の概況(亀山~新宮)

鈴鹿川の北側にある亀山駅(亀山市)を出ると、右にカーブして鈴鹿川を渡り、丘陵地の中をトンネルといくつものカーブで抜けて南東方向に進みます。そこから築堤を上がって、下庄駅に至ります。下庄駅を出て、津市に入ってもなお、山間部を進み、しばらくして田園地帯に入った後、国道23号(中勢バイパス)をくぐると一身田駅で、左手に真宗高田派本山の専修寺(せんじゅじ)が見えます。左手から伊勢鉄道伊勢線が合流してくると、近鉄名古屋線をくぐって津駅に到着します。津駅は三重県庁に近く、近鉄名古屋線と伊勢鉄道伊勢線も乗り入れています。

津駅を出ると、三重県庁が建ち並ぶ丘陵を右に眺めながら、近鉄名古屋線と並行して南下します。 安濃川を渡り、津市の副都心として発展している近鉄津新町駅の東側を通過し、岩田川を渡ると近鉄名古屋線と分かれ、その後も市街地を進むと阿漕駅に至ります。阿漕駅からは国道23号(伊勢街道)とともに南下を始めます。 高茶屋駅の先で田園風景が広がってくるようになり、雲出川を渡ると津市から松阪市に入ります。六軒駅を過ぎ、三渡川を渡って近鉄山田線と交差し紀勢本線は近鉄山田線の西側を走行します。右手から名松線が合流すると、松阪駅に到着します。

松阪駅を出ると近鉄山田線がやや東向きに分かれていき、かつて伊勢電気鉄道(のちの関急伊勢線)との乗換駅であった徳和駅に至ります。徳和駅を出ると丘陵地帯を通過し、櫛田川を渡って多気町に入ったところで、多気駅に到着します。

建設の経緯から、参宮線は多気駅を出ると直進するのに対し、紀勢本線は右にカーブをして進路を西に変えて、かつて紀勢東線と呼ばれていた区間に入ります。国道42号(松阪バイパス)を過ぎると相可駅を通過し、多気町役場の西側を走行すると紀伊山地に入り、大台町を通ります。ここから川添駅にかけて茶畑が目立つようになり、この先から、国道42号とともに和歌山県和歌山市を目指します。三瀬谷駅を出ると、宮川に架かるアンダートラス橋を渡り、滝原(大台町)~阿曽(大紀町)間では大滝峡と呼ばれる渓谷を通過します。梅ケ谷駅を過ぎると伊勢国と紀伊国の境にある荷坂峠を荷坂トンネルで抜け、紀北町に入ったところからΩ状のカーブを13ものトンネルで抜けると、紀勢本線では初めて熊野灘が見える海沿いに出て、再びトンネルをくぐると紀伊長島駅に到着します。

伊長島駅を出ると赤羽川橋梁を渡ります。三野瀬駅を出て小さな峠を越えると、田園地帯を走行し、船津駅を通過して、相賀駅を過ぎ、銚子川を渡る高架橋のままトンネルに入って、銚子川沿いの谷を走行し、馬越峠を尾鷲トンネルで抜けると尾鷲市に入り、尾鷲駅に到着する。ここからは国道が山間部を通過するのに対して、紀勢本線は海沿いを走行し、中部電力の尾鷲三田火力発電所を左手に眺めながら小さなトンネルを抜けて大曽根浦駅を通過します。この先は、長大トンネルが多く、熊野市駅まで各トンネルの間に駅が所在するようになります。九鬼駅・三木里駅と続いて、紀勢東線と呼ばれた区間が終了します。この区間は住民・政治家から国鉄に対して陳情が行われ、九鬼駅経由で建設されることになったところです。三木里(尾鷲市)~新鹿(熊野市)間は紀勢本線で最後に建設された区間であり、建設当初の計画では賀田~新鹿間を1本のトンネルによって結ぶ予定でしたが、住民から国鉄に対して陳情が行われ、二木島駅経由で建設されることになったところです。

熊野市駅近くにある鬼ヶ城と呼ばれる景勝地が志摩半島から続いたリアス式海岸の最南端にあり、熊野市駅からは平野部が続き鵜殿駅(紀宝町)までは約22kmの海岸線が続く七里御浜沿いに進みます。この七里御浜では毎年8月に熊野大花火大会が行われ、臨時列車が多数運転されています。鵜殿駅を過ぎると、右にカーブをして一度山側へ迂回して三重県と和歌山県の県境である熊野川を渡り、和歌山県新宮市に入ります。新宮城跡の下に設けられた丹鶴トンネルをくぐると新宮市の市街地を進み、ほどなくして新宮駅に到着します。なお、熊野川橋梁中央部から丹鶴トンネル入り口までのわずかな区間が、JR東海唯一の和歌山県区間となっています。


駅の紹介(亀山~新宮)

駅名\種別 普通快速みえ特急
亀山 --
下庄 --
一身田 --
阿漕 ||
高茶屋 ||
六軒 ||
松阪
徳和 ||
多気
相可 -|
佐奈 -|
栃原 -|
川添 -|
三瀬谷 -
滝原 -|
阿曽 -|
伊勢柏崎 -|
大内山 -|
梅ケ谷 -|
紀伊長島 -
三野瀬 -|
船津 -|
相賀 -|
尾鷲 -
大曽根浦 -|
九鬼 -|
三木里 -|
賀田 -|
二木島 -|
新鹿 -|
波田須 -|
大泊 -|
熊野市 -
有井 -|
神志山 -|
紀伊市木 -|
阿田和 -|
紀伊井田 -|
鵜殿 -|
新宮 -

※記号の凡例 ○:停車、|:通過、-:設定なし


車両(亀山~新宮)

特急・急行列車用車両

HC85系(津~新宮)

普通・快速列車用車両

キハ25形

キハ75形(津~多気)