新幹線700系電車

車両について

運用事業者 東海旅客鉄道(JR東海・運用終了)
西日本旅客鉄道(JR西日本)
製造所 日本車両製造
日立製作所笠戸事業所
川崎重工業車両カンパニー
近畿車両(E・B編成)
製造年 先行試作車:1997年(平成9年)
量産車:1999年(平成11年)~2006年(平成18年)
製造数 1,328両
運用開始 1999年(平成11年)3月13日
運用路線 東海道新幹線(運用終了)、山陽新幹線、博多南線
最高速度 285km/h(東海道新幹線区間は270km/h、博多南線区間は120km/h)
備考 東海道新幹線での運用は2020年(令和2年)3月1日に終了
16両編成での定期運用は2020年(令和2年)3月13日に終了
鉄道友の会第40回(2000年)ローレル賞受賞

新幹線700系電車

クイックアクセスガイド

車両の概要

車両の性能・仕様

形式

番台区分について

編成

車両についての見解


車両の概要

700系は、東海旅客鉄道(JR東海)および西日本旅客鉄道(JR西日本)に在籍する、東海道・山陽新幹線用新幹線電車です。1999年に営業運転を開始した第四世代の営業用車両であり、最高速度が低い0系・100系の置き替え用として製造されました。

適度の製造・保守コストで東海道・山陽新幹線全体の高速化を図るべく、JR東海とJR西日本が共同で開発した車両です。最高速度は285km/hで、500系(JR西日本)の300km/hには及ばないものですが、車内の居住性や乗り心地の改善を図っています。また充当編成変更時にも対応できるよう300系と座席数を共通化させています。

1編成16両の価格は当時の価格で約40億円となっていました。なお、JR東海会長(当時)葛西敬之「国鉄改革の真実」によると、編成価格は300系と同様の約40億円とされていました。1997年秋に先行試作車16両編成1本が落成し、各種試験がなされました。1999年からは量産車の落成が始まり、0系(JR東海では1999年秋営業運転終了)や100系(JR東海では2003年秋営業運転終了)の置き換えが推進されました。日本車輌製造・日立製作所笠戸事業所・川崎重工業車両カンパニー・近畿車輛(JR西日本所有編成のみ)に発注され、最終的に91編成(16両編成75本、8両編成16本)、1328両が製作されました。

開発発表当初の仮称は「N300」であったがこれは正式名称には採用されず、従来の付番方式に従って700系と命名されました。N300とは、300系の改良型という意味です。登場当初にはJR東海所有車のみですが「New Generation Train」という愛称があり、そのテレホンカードが車内で販売されていました。

登場以来、300系に代わって「のぞみ」や「ひかり」(ひかりレールスター)といった速達列車に充当されてきましたが、後継のN700(A)系の増備により、東海道新幹線の「ひかり」、両新幹線の「こだま」での運用が主体となり、2013年から本格的な廃車が開始され、2017年をもって最後の大規模検査を終了しました。東海道新幹線ではN700(A)系に置き換えられる形で2020年3月1日に運用を終了し、その後、JR東海の車両は全廃となりました。


車両の性能・仕様

備考

JR東海が発注した16両C編成とJR西日本が発注した8両E編成および16両B編成では、走行機器を中心に相違点が存在します。それについては各節で詳述します。

車両外観

2車体についてはアルミニウム合金製で、防音材を挟み込んだダブルスキン構造を採用しており、車内騒音に配慮しつつ軽量かつ低コストな構造となっています。普通車の側窓寸法は天地590mm×幅700mm、窓框高さは300系と同じ710mmです。車体断面は幕板部分が窓上から屋根に向かって緩やかに絞られるようになり、これが後述する客扉窓の高さに関係しています。

先頭形状は、500系と同等のトンネル微気圧波対策効果を短いノーズで実現するために、エアロストリームという「カモノハシ」(トップ・ギアのジェームズ・メイも言及)のような形状となっていますが、そのために見る角度によって印象が大きく異なっています。

先頭車両の連結器カバーは、C18・E15編成までは2段階に分離するようになっており、連結器を使用するときはリング状に開くが、C19編成以降とE16編成、B編成(全編成)では継ぎ目の間隔が短くなりました。そのため取り付け部の造作も若干異なっています。

編成・車両番号表記の書体はC編成(JR西日本に移籍した車両を含む)がスミ丸ゴシック(国鉄時代からの標準書体)、JR西日本所有車(B編成)が新ゴ(一部はゴナ)となっており、運転席窓ワイパーが停止位置がC1編成以降(ななめ)と、B/E編成(ほぼ垂直)で異なるなど、細部で違いがみられます。

また、先頭車の乗務員室と客室の扉上部にある雨樋が乗務員室用と客室用で分かれていました。しかし増備の途中から雨樋は一体化したものとなり、現在では全てのC編成とB4~B15・E16編成が一体タイプとなっています。B1~B3・E1~E15編成は現在まで雨樋は分離しています。

初期製造車(C1~C28編成)は客扉の窓が平面ガラスで位置が若干低く、2001年製のC29編成から曲面ガラスを使用しました。なお、JR西日本所有のBおよびE編成は一貫して低くなっています。

500系まで乗務員室の外の握り棒は金属の手すりを埋め込んで設置してきましたが、本系列から停車中にはフタが開き握れて、発車後5km/h以上になるとフタが閉じ走行中の空力抵抗を低減する仕組みになっています。乗務員室内には、その旨を示すステッカー(「発車直後に外側の握り棒を握らないこと」)が貼られているのが、乗務員室を覗くと見えます。ただしE編成には従来同様金属の手すりが設置されています。

1号車である723形の車体上部には、四角い箱状の空間波アンテナが搭載されていますが、2004年度以降増備編成(C55~C60・B13~B15・E16編成)は東海道・山陽新幹線全線のLCX化が完了したため、アンテナは搭載されていません。

0系以降、東海道・山陽新幹線では運転台上にあった屋根上の静電アンテナ(500系除く)は、本系列で初めて先頭車両の連結面側に移りました。これは、以降の800系(JR九州)やN700系も同様です。 標識灯は、運転席の下に、ヘッドライト2灯とテールライト1灯が両側に配置されています。

塗装は300系までと同じく、車体全体を白で塗装し、側面に青帯を配するものとなっています。この青帯は、300系では(上)細/(下)太ですが、本系列では(上)太/(下)細に変更され、N700系でも踏襲されました。 C・B編成には700系のロゴマークが貼り付けられています。さらにB編成では運転席脇に青字で「JR700」の文字が表記されています。

走行機器

主電動機は、かご形三相誘導電動機を電動車1両あたり4基搭載しています。300系で実績のあるフレームレス構造、アルミブラケット構造を採用して軽量化を図り、電蝕防止の観点から絶縁軸受を採用しました。連続定格出力は275kWです。

台車は、C編成には300系のものをベースとした、コイルバネと円筒積層ゴムを併用したウイングバネ式軸箱支持装置のアンチヨーダンパ付きのボルスタレス台車であり、軸箱の上部と台車枠の間に軸ダンパーが装備されたものとなっています。一方のE・B編成は、500系用の台車をベースにした軸梁式軸箱支持装置のアンチヨーダンパ付きのボルスタレス台車であり、軸箱の側端部と台車枠の間に軸ダンパーが装備されたものとなっています。それは、円筒コロ軸によるグリス潤滑軸受けが特徴となっています。

ブレーキについては、300系、500系にひきつづき、電動車には電力回生ブレーキを、付随車には渦電流式ディスクブレーキを採用しています。渦電流式ディスクブレーキに関しては、車両重量バランスの改善と電動車の割合が上がったことから300系から半減されて1軸1機とされています。また、緊急制動時の滑走対策として500系に装備されていたセラミック噴射装置を1号車第1軸と16号車(8両編成の場合は8号車)第4軸に採用して制動距離の短縮を図っています。

集電装置は新たに開発されたシングルアームパンタグラフをM1車の内5・13号車に搭載しています。パンタグラフは主枠の中にイコライザーアームを通した物となっており、さらにスライダーのホーン部分に小さな穴を開けることで、パンタグラフ自体から発生する騒音を軽減する構造になっています。

車内仕様・サービス設備

車内仕様は16両編成の場合、8~10号車がグリーン車、他は普通車で構成されています。

座席配置は300系と共通である。また300系以降、車体軽量化の一環で座席クッションからスプリングを廃し、ポリウレタンを重ねたものを用いています。

内装はC編成とB編成で異なり、号車表示の位置も違います。C編成の普通車は明るい色調で座席モケットが水色であるのに対し、B編成では濃い紺色となっています。このため乗車した際の印象が異なっています。また、座席の形状もそれぞれの編成で異なっています。全体的な車内の構造については300系と比較して、普通車が直接照明となり天井の構造が簡略化されたことや、特にC編成では壁面および仕切扉のデザインも簡素化されていることなど、コストダウンの影響が現れています(B編成の場合はE編成との部材共通化などによりその影響はまだ小さい)。しかし最大天井高さは2,200mmとなり、視覚面でも居住性が向上しています。グリーン車はC・B編成ともに300系の間接照明から、暖色系の蛍光灯を使用した半間接照明となっています。蛍光灯カバーのデザインはC・B編成で異なっています。

2001年度以降に落成したC25編成以降と製造当初からのB編成では、各車両両端の座席にコンセントと縦に長いテーブルを設けたほか、ユニバーサルデザインの一環として座席肩部のグリップ(B編成では滑り止めパッド)やドアチャイムが設置されています。グリーン席ではC編成では座席背面のテーブルがあるのに対し、B編成ではそれに代えて肘掛収納のテーブルが二段折り畳み式となっており、喫煙席の灰皿(C編成では中央の肘掛部、B編成では端の肘掛部)や読書灯スイッチ(C編成では読書灯の横、B編成では中央の肘掛上)の位置も異なるなどの差異があります。グリーン車の各座席にはオーディオサービス用のコントロールパネルが設置されていましたが、2013年春のオーディオサービス終了に伴い撤去され板がはめ込まれています。なお車体の軽量化と強度確保のため、窓の寸法は300系・500系に比べて小型化されています。

デッキと独立した電話室が2・4・6・8・10・12・14号車博多寄りと15号車東京寄りのそれぞれのデッキに備えられていますが、携帯電話の普及に伴って一部号車のものは撤去され、最終的に2・6・12・15号車まで削減されました。


形式

700系は以下の8形式から構成されています。各形式とも番台区分により機器・車内構成が異なっています。

717形

グリーン席を備える中間電動車です。車掌室を備え、主変換装置・セミアクティブサスペンションなどを搭載しています。

718形

グリーン席を備える中間不随車です。乗務員室を備え、空気圧縮機・セミアクティブサスペンションなどを搭載しています。

719形

グリーン席を備える中間不随車です。荷物保管室・業務用室・便所・洗面所を備え、空気圧縮機・セミアクティブサスペンションなどを搭載しています。

723形

普通席を備える制御不随車です。博多向き運転台・便所・洗面所を備え、空気圧縮機・セミアクティブサスペンションなどを搭載しています。

724形

普通席を備える制御不随車です。東京向き運転台を備え、空気圧縮機・セミアクティブサスペンションなどを搭載しています。また、一部の車両には、コンパートメントや公衆電話を搭載しているものがあります。

725形

普通席を備える中間電動車です。便所・洗面所・集電装置・主変換装置を搭載しています。また、一部の車両には、空気圧縮機・セミアクティブサスペンションや車内販売準備室・車椅子対応設備を搭載しているものがあり、集電装置・便所・洗面所が搭載されていないものがあります。

726形

普通席を備える中間電動車です。主変圧器・空気圧縮機を搭載しています。また、一部の車両には、便所・洗面所・車掌室や車内販売準備室・車椅子対応設備を搭載しているものがあり、空気圧縮機が搭載されていないものがあります。

727形

普通席を備える中間電動車です。便所・洗面所・主変換装置を搭載しています。また、一部の車両には、空気圧縮機や車内販売準備室・荷物室・公衆電話を搭載しているものがあり、便所・洗面所が搭載されていないものがあります。


番台区分について

番台\設備 行先表示機編成両数配置
0番台 16両東京・大阪
3000番台 3色LED16両博多
7000番台 3色LED8両博多

編成

700系の編成は16両・8両の2種類が存在しています。

16両(0・3000番台)

723727726725
普通車普通車普通車普通車
725726727718
普通車普通車普通車グリーン車
719717726725
グリーン車グリーン車普通車普通車
725726727724
普通車普通車普通車普通車

8両(7000番台)

723725726727
普通車
3+2シート
普通車
3+2シート
普通車
3+2シート
普通車
2+2シート
727726725724
普通車
2+2シート
普通車
2+2シート
普通車
2+2シート
普通車
普通個室


車両についての見解

700系に今まで乗車したことから、乗り心地が良く、車内設備の快適な車両であると考えた。また、最高速度は登場当時に走行していた500系と比べて劣っていたが、上記の点で画期的な車両であると考えた。

700系には2005年、私が小学校3年生の時に初めて乗車した(乗車区間は新大阪~名古屋)。当時は「ひかり」や「こだま」の運用が少なく(少し前までは「ひかり」や「こだま」の運行が多かったが、今は定期列車では「こだま」のみ)、「のぞみ」の運用が多かったときである。当時の「ひかり」や「こだま」は初代「のぞみ」の車両である300系が主に用いられており、「のぞみ」に乗れた時は嬉しく感じたものである。なぜなら、東海道新幹線区間のみの乗車であったために最高速度が劣っていることは関係なく(最高速度300km/hは山陽新幹線区間のみで、東海道新幹線区間の最高速度は当時、270km/hであった)、乗り心地が良かったからである。その後、「こだま」の運用に充てられていくようになり、その運用に当たる度に喜んでいたものである。

時が進んで高校生になると、グリーン車に乗る機会が発生し、これが人生で初めてのグリーン車であった。グリーン車には普通車にはないものがあり、グリーン車は普通車と比べて座席の列が1つ減らされている代わりに、座席が幅広のものとなっていた。また、グリーン車にはフットレストが備わっており、正面に足を伸ばすこともできた。以上のことから優越感に浸ることができたと感じる。その出来事の後は700系のグリーン車に乗っていないが、普通車には乗れる機会があれば乗っていた。

さらにその過程には、JR東海の700系だけでなくJR西日本の700系にも3000番台と7000番台の両方に乗車しており、3000番台の停車駅停車直前に表示する次の駅の表示の仕方が、JR東海の突然のものでなく、上からフェードインするような表示になっていたことは覚えている。7000番台に関しては自由席車両であったために、東海道新幹線の時と同じ感じであったが、いつかは個室でなくても指定席に乗りたいと考えている(個室は3名以上でないと利用できないため)。

最後に、2019年のダイヤ改正の後に700系の運用がかなり少なくなったときに、700系で運転された臨時の「のぞみ」に乗車した。現時点ではこれが最後の700系乗車となっているが、奇しくも最初に乗車した時の種別となっていた。その時の乗車区間は名古屋~東京であり、通過する様は現在の主力であるN700系よりも最高速度が劣っていながらも(N700系の東海道新幹線区間の最高速度は285km/h)、登場当時さながらの爽快感であった。

以上のことから、700系は乗り心地が良く、車内設備の快適な車両で画期的なものであった。

2019年(令和元年)6月16日執筆。