名鉄5700系・5300系電車
運用事業者 | 名古屋鉄道(名鉄) |
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製造所 | 日本車両製造 |
製造年 | 1986年(昭和61年)~1989年(平成元年) |
製造数 |
66両(系列全体) 24両(5700系) 42両(5300系) |
運用開始 | 1986年(昭和61年)6月24日 |
運用終了 | 2019年(令和元年)12月中旬 |
運用路線(廃車直前時点) | 名古屋本線(伊奈~東枇杷島)・犬山線・各務原線・広見線(犬山~新可児) |
最高速度 | 110km/h |
備考 |
クイックアクセスガイド
名鉄5700系電車(めいてつ5700けいでんしゃ)は、名古屋鉄道(名鉄)の直流急行用高性能電車(SR車)です。名鉄名古屋本線を幹線とする急行列車のサービス向上のために登場した車両で、同時に同じ車体で5000系(初代・廃車)・5200系(廃車)の機器を一部流用した5300系も増備されました。本項では5300系についても同時に記述します。
名鉄の社内では5000系(初代・廃車)以降の高性能車について「SR(スーパーロマンスカー)車」と、5700系と5300系について「NSR(ニュースーパーロマンスカー)車」と呼称していることに倣い、本項でも5700系登場以前の高性能車については「SR車」と表記し、5700系と5300系だけをまとめる必要がある場合は「NSR車」と表記しています。また、特定の編成について記す場合は、豊橋向きの先頭車の車両番号をもって編成呼称としています(例:豊橋向き先頭車の車両番号がク5701の編成であれば「5701編成」)。
車体構造
車体は普通鋼製で、屋根板と床板はステンレス板を使用しました。先頭車は車体長18,150mm・全長18,900mm、中間車は車体長18,100mm・全長18,830mmとなっており、車体幅は2,730mm、レール上面から床面までの高さは1,110mmとなっています。
前面は後方に傾斜した流線型で、大きなフロントガラスを使用した非貫通式の左右非対称スタイルとし、客室から前方視界が広がるようにしました。ガラスは熱線ヒーター入りとした上で大型ワイパーも設置し、雨天時にも良好な視界が確保されるようにしました。
客用扉は片側2ヶ所に幅1,400mm・高さ1,808mmの両開き扉を配置し、ラッシュ時におけるスムーズな乗降を考慮しました。側面窓はパノラマカー(7000系・廃車)と同様の固定窓(連続窓)で、車端部のロングシート部分のみバランサー付き下降窓としました。客用扉の窓にはフィルム入り合わせガラスを使用し、直射日光をやわらげるようにしています。
先頭部分と側面窓上中央部には幕式の種別・行先表示器が設けられました。
体の塗装デザインはスカーレット1色で、耐候性や光沢に優れるフッ素樹脂塗料を使用しました。
主電動機・制御装置・台車(5700系)
主電動機は東洋電機製造製の直流複巻補極補償巻線付電動機(150kW、形式TDK-8225A形)となっています。また、制御方式は回生ブレーキ併用GTO界磁チョッパ制御となっています。
台車は、住友金属工業製のSU形ミンデン式の空気バネ台車となっています。
ブレーキ制御は他のSR車との連結のため、回生ブレーキ併用のHSC-R形電磁直通式となっています。
主電動機・制御装置・台車(5300系)
主電動機は5000系・5200系から流用した東洋電機製造製の直流直巻整流子電動機(75kW、形式TDK-823A形)となっています。また、制御方式は回生ブレーキ併用界磁添加励磁制御となっています。
台車は5000系・5200系から流用した住友金属工業製の金属ばね台車となっており、支持方式は先頭車がアルストムリンク式軸箱支持方式、中間車が軸ばね式軸箱支持方式となっています。
ブレーキ制御は他のSR車との連結のため、回生ブレーキ併用のHSC-R形電磁直通式となっています。
車内仕様・サービス設備
車内は主として転換クロスシートを配置し、連結面側車端部にはロングシートを配置しました。
転換クロスシートのシートピッチは900mmで、乗務員室車掌側直後の2脚については幅を1,085mmと広くして、親子3人でも座れるようにしたほか、後列の座席については若干高くしました。また、出入り口付近には肘掛つきの折り畳み式補助座席を設けています。この座席は自動的に収納されるようにコイルバネとダンパを設けているほか、ラッシュ時には乗務員室からの操作でロックさせ、使用できないようにすることが可能となっています。使用可能な状態の際には補助座席のLED表示灯が点灯します。
乗務員室直後の客室上部にはデジタルLED式の速度計(7000系に後年付けられたものと同じ)を取り付けました。室内灯は平面グローブ付きとして、天井に2列の配置としました。
室内の配色については、天井をクリーム色、壁面はベージュとして側面をレンガ模様・妻面を花柄模様としました。床面はワインレッドとブラウンで、床中央をワインレッドとしました。座席の表地の色はスカーレットとしました。
乗務員室の機器配置は既存のSR車と同様として誤操作防止を図ったほか、運転台以外は前面展望の妨げにならないように機器をすべて収納した上で無反射塗装を施しました。
5700系は以下の6形式から構成されています。
ク5700形
上り方(豊橋方)の制御車(Tc1)です。
モ5750形
中間電動車(M1)です。電動車ユニットの豊橋側の車両となっています。
サ5600形
中間付随車(T)です。現在はありません。
モ5650形
中間電動車(M)です。現在はありません。
ク5800形
下り方(岐阜方)の制御車(Tc2)です。
モ5850形
中間電動車(M2)です。電動車ユニットの岐阜側の車両となっています。
5300系は以下の4形式から構成されています。
モ5300形
上り方(豊橋方)の制御電動車(Mc1)です。
モ5350形
中間電動車(M2)です。
モ5400形
下り方(岐阜方)の制御電動車(Mc2)です。
モ5450形
中間電動車(M1)です。
5700系の編成は4両の1種類が存在しています。
4両
ク5700 | モ5750 | モ5850 | ク5800 |
5300系の編成は4両の1種類が存在しています。
4両
モ5300 | モ5350 | モ5450 | モ5400 |
1986年11~12月製造(5300系2次車)
4両編成4本と2両編成1本が増備されました。このときに流用した台車のうち、中間車のものについては基礎制動装置をシングル式(片押し式)からクラスプ式(両抱え式)に改造した上で使用しました。
1987年3月製造(5700系2次車)
4両編成2本が増備されました。この増備車からは、集電装置(パンタグラフ)が剛体架線に対応したものに変更されました。
1987年11月製造(5300系3次車)
2両編成4本が増備されました。このときに流用した台車のうち先頭車のものについてはボルスタ部分を改造した上でFS315A形として使用した上で、電動空気圧縮機は5700系と同じものに変更されました。
1989年6月製造(5700系3次車)
当時の名古屋本線での高速・急行運用で6両編成の運用が増加していたため、6両貫通編成の増強目的で中間車4両が増備されました。この時の増備車は界磁添加励磁制御方式を導入し、制御装置に三菱電機製のABFM204-15MRH形を採用しました。主電動機は出力150kWの直流直巻補極補償巻線付電動機である東洋電機製造製TDK8051A形が採用され、台車は、住友金属工業製のSU形ミンデン式空気バネ台車であるFS521D形・FS098D形に変更されました。
現在、準備中。