近鉄5200系電車

車両について

運用事業者 近畿日本鉄道(近鉄)
製造所 近畿車両
製造年 1988年(昭和63年)~1993年(平成5年)
製造数 52両
運用開始 1988年(昭和63年)
運用路線 大阪線・名古屋線・山田線・鳥羽線
最高速度 110km/h
備考 1988年度グッドデザイン商品(現在のグッドデザイン賞)選定

近鉄5200系電車

クイックアクセスガイド

車両の概要

車両の性能・仕様

形式

編成

導入年次による変化

車両についての見解


車両の概要

近鉄5200系電車(きんてつ5200けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道(近鉄)が1988年から運用している一般車両です。

1980年代当時の大阪線や名古屋線の長距離急行を中心に運用されていた2600系・2680系・2610系は座席に対面式固定クロスシートを装備していましたが、1970年代前半まで運用されていたその先代の急行車である2200系や2250系と比べるとシートピッチが狭く、旅客から敬遠されつつあったことや、一部編成にてトイレを装備していた1600系や1000系、1200系などのロングシート車両も一部の急行で運用されており、特別料金不要列車であっても高品質な輸送を求める声が多くなっていたことから、2600系列に代わる長距離列車用の一般車として1988年に登場しました。主に急行や快速急行、及び団体専用列車(本系列は20100系の代替も兼ねており、同時期に団体専用車両化された18200系では輸送力不足となった際に汎用特急車の予備車を使用し、それらが運用に余裕が無い場合に本系列が使用されたことがあった)に使用するため、座席に転換式クロスシートを採用しました。


車両の性能・仕様

車体構造

車体は先に登場した車両にアルミニウム合金としたものがありますが、本系列では車体側面に窓高さ950mmの連続窓、車体前面に曲面ガラスを採用した関係上、車体強度を確保するため普通鋼製とされました。なお、車体断面そのものは1422系等のアルミ車体車と概ね同様ですが、側面の裾高さは800mmと低くされ、床材についてはステンレスを用いりました。

車体塗装は3200系登場以降の近鉄一般車で標準となったシルキーホワイトとマルーンレッドのツートンカラーとなっています。製造当初は連結面まで帯が周り込み、当時の特急車に近い塗り分けでしたが、後年はマルーンレッド一色に変更され、裾帯も消されるなど変化しました。

先頭部は、幌枠を目立たなくさせるために両サイドに僅かなふくらみを設け、その部分をマルーンレッド塗装として、中央をシルキーホワイトとした結果、6400系等の先頭デザインとは異なってスマートな顔立ちとなりました。このふくらみと面一になるようにLED式種別標識灯兼尾灯を設置しました。LEDは、初期車は縦4列・横12列、他は縦2列・横6列の素子を採用しました。さらに、後者のタイプには2タイプが存在し、26000系で採用された素子61個を1ユニットで構成したタイプと、22000系のように素子を高密度で構成したタイプになっています。従って、5200系列では3タイプの標識灯兼尾灯が存在していました(現在は初期車のタイプがなくなり、標識灯と尾灯の2灯式としたものが存在している)。

乗降扉は片側3箇所(大阪線では1460系、名古屋線では6441系以来の片側3扉車両である)で、両端側の2箇所は4扉の通勤形に合わせてあり、もう1箇所は車体の中央部に設置されています。前述のように連続窓の採用により剛性確保の意味合いもあって鋼製車体となりましたが、窓の間柱を65mmと太くすることで、さらに強度を上げました。

主電動機・制御装置・台車・運転機器

主電動機は三菱電機製かご形三相誘導電動機を用いています。また、制御方式は三菱電機製のGTOサイリスタ素子を用いたVVVFインバータ制御となっています。

台車は、従来のシュリーレン式に酷似した形状ながらシュリーレン台車の特徴であった軸ばね部のオイルダンパーを廃し、代わりに積層ゴムブッシュを採用した軸箱支持を採用した新設計の空気バネ台車となっています。

ブレーキ制御は、回生ブレーキおよび抑速ブレーキ付き電磁直通式となっています。

車内仕様・サービス設備

車内は従前の急行用一般車よりも特に快適性が重視されており、座席は各車連結部妻面の10列分を除いた全座席が転換可能で、内装のカラーリングでは同時期製造のロングシート車両である3200系や1422系などと同様に、化粧板はパールカラーのサンドウェーブ柄、床材はブラウントーンを採用しましたが、本系列では、妻面はベージュ系レザー調としました。シートモケットは、両先頭車はグリーン系、中間車はブラウン系を採用し(現在は双方とも赤系となっている)、シートピッチは910mmと余裕を持たせ、背もたれはプライベートな空間を出すために従来よりも高めに取り、白のカバーを装着しています。シートの材質は柔らかめとし、長距離の乗車でも楽な姿勢を保てるよう配慮されています。座席間には小物を置くための小テーブルが設置されていました(現在は撤去)。カーテンはベージュ系のロールアップ式となり、大型の5連続窓と合いまって一般車両の中でもトップクラスの開放感と高級感を併せ持つ車内空間を演出しています。また、肘掛けは当初、側壁側にも設置されていました。

乗降扉付近の手すりは運転室側とトイレ側補助席部分を除いて省略されましたが、仕切り壁には折り畳み式補助席が設置されており、団体列車として運行する際には使用されていました(現在は撤去)。なお、補助席を全て使用すると4両編成で296席となっていました。4両編成中2箇所(先頭車の連結側)にトイレ(和式の水洗トイレで、貯蔵タンク式だったが、現在は洋式となっている)が設置され、各車のトイレ寄り妻面にはトイレ使用表示灯が取り付けられました。トイレの床は緑のタイル張りとしました。また、団体運用を考慮して荷物棚下部に特急車と同様の座席番号も表記されています(2013年以降は50000系に合わせてアルファベットを併用した座席番号に変更された)。


形式

5200系は以下の4形式から構成されています。

ク5100形

上り方(大阪上本町・近鉄名古屋方)の制御車(Tc1)です。トイレが搭載されています。

ク5150形

下り方(鳥羽方)の制御車(Tc2)です。トイレが搭載されています。

モ5200形

中間電動車(M1)です。

モ5250形

中間電動車(M2)です。



編成

5200系の編成は4両の1種類が存在しています。

4両

ク5100モ5200モ5250ク5150


導入年次による変化

当記事では導入年次による変化を系列名でも表しています。

1990年頃製造(5200系2次車)

4両編成4本が増備されました。この編成からは走行機器が一部変更されました。

1991年製造(5209系)

4両編成2本が増備されました。この編成からは補助電源が静止形インバータに変更されました。

1993年製造(5211系)

4両編成3本が増備されました。この編成は台車がボルスタレス台車に変更されました。


車両についての見解

現在、準備中。