近鉄22600系電車

車両について

運用事業者 近畿日本鉄道(近鉄)
製造所 近畿車両
製造年 2009年(平成21年)~
製造数 32両
運用開始 2009年(平成21年)4月1日
運用路線 難波線・奈良線・京都線・橿原線・大阪線・名古屋線・山田線・鳥羽線・志摩線
最高速度 130km/h
備考 鉄道友の会第50回(2010年)ローレル賞受賞

近鉄22600系電車

クイックアクセスガイド

車両の概要

車両の性能・仕様

形式

編成

車両についての見解


車両の概要

近鉄22600系電車(きんてつ22600けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道(近鉄)が2009年から運用している特急形電車です。

22600系は、22000系をリファインした車両であり、次世代の汎用特急車両として開発されました。

22600系は標準軌路線の特急運用に既存の車両とともに広く運用することを想定しています。初期車の製造から40年近くが経過し老朽化の進んだ12200系「新スナックカー」の後継に当たり、初期車の製造から17年が経過した22000系を全面改良した系列となっています。しかしながら名目の上では22000系をリファインした車両であっても、システムをはじめインテリアデザインのベースとなったのは、21020系「アーバンライナーnext」であり、同系の仕様をほぼ踏襲しました。そのうえで、分煙化対策のさらなる強化や座席の改良、ACコンセントの各座席への設置など、時代のニーズに適合するよう改良を図りました。

2010年に鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。


車両の性能・仕様

車体構造

前頭形状は貫通形でありながら正面を緩やかな曲面とし、天面や側面にかけて大きく丸みを帯びた曲面で構成することにより、22000系よりもさらに流線形に近づいたデザインとしています。運転台前面と貫通扉には大型曲面ガラスを用い、貫通扉には幌を内側に格納できる左右開きのスライド式プラグドアを採用しています。 標識灯・尾灯は車体前面底辺と排障器との間にLED方式のものを装備し、通過標識灯として表示する場合には電球色、尾灯として表示する場合は赤色に発光するようになっています。

前頭部左右の窓の上部にはHID型の前照灯をそれぞれ2個ずつ格納しているほか、車掌台側の窓の下部には赤色と白色が表示できるフルカラーLED方式の行先表示器を、乗客用乗降扉近くの客室側窓上には3色LED式の行先表示器を備えています。なお、側面表示器は「特急」「全席指定」および途中駅切り離し車両の表示も可能としています。

乗降扉は従来の二枚折り戸からプラグ式に変更され、密閉性を高めると同時に前面貫通扉のスイング化ともあいまって、完全なフラッシュサーフェス化を実現してシンプルな外観となりました。

側面窓はUVカットガラスを使用した高さ965mmの外付け連続窓としており、乗客用乗降扉は外側スライド方式のプラグドアを採用しましたが、21020系で採用されたドアステップは省略されました。また編成中の連結面に板状の転落防止幌を備えています。なお、先頭車前面には転落防止幌が設置されていないため、先頭車同士の連結面における転落注意を促す放送装置が排障器裏側に設置されています。

塗装はこれまでの近鉄特急車のイメージを踏襲し、オレンジ地に客室側窓周りをブルー、正面窓周りをブラックの塗装としたほか、T車・Tc車側面の一部に8本のブルーのラインとAceのロゴタイプをプリントしていました(現在は22000系更新車に準拠したものとなり、ロゴタイプは撤去されている)。

主電動機・制御装置・台車・運転機器

主電動機はかご形三相交流誘導電動機を用いています。また、制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御となっています。

台車は、ディスクブレーキとヨーダンパを併用したボルスタレス台車となっています。

ブレーキ制御は、回生ブレーキ付き電気指令式となっています。

車内仕様・サービス設備

車内デザインはおおむね21020系のデザインを踏襲しましたが、荷棚上面の高さをさらに低くし、窓下の内帯追加によって缶ジュース等を置けるように配慮した他、表示装置の大型化やコンセント、座席背面テーブル設置など一層進化した内容とされました。

化粧板は客室・デッキのいずれも縦縞模様の入った白系で、赤を基調とした客室座席と合わせて落ち着きと高級感を出すよう意図されています。車内案内表示器は21020系や21000系更新車で採用された液晶ディスプレイではなく、22000系と同様のLEDスクロール式を仕切扉上部に設置し、行先・停車駅やニュース・気象情報などを表示する方式としています。表示面積は22000系の約2倍としているほか、22000系では独立してサインパネルが設置されていた号車番号・トイレ使用表示も一体化されています(この仕様は23000系更新車にも適用されている)。側窓には21020系と同サイズの高さ965mmの大型UVカットガラスを採用し、展望を重視した26000系「さくらライナー」の高さ890mmの側窓よりもさらに一回り広くなったことで、室内の開放感を高めるとともに車窓からの優れた眺望を楽しむことができるようになっています。ガラスを通して外から差し込む光は淡い緑色となっています。カーテンは嵩張らないプリーツカーテンを採用し、各座席上には個別に風量を調節できるエアコンのスポット吹き出し口を備えています。

座席構造は21020系で採用された、背もたれを倒すのに合わせて座席後部が沈み込むゆりかご式リクライニングシートをさらに改良したものを採用しています。座席部分や肘掛部分のクッションの堅さと肘掛の寸法が見直されているほか、背もたれを22000系に比べて50mm高く設計することでプライベートな空間を確保できるよう配慮されています。モケットは「唐花文(からはなもん)」等をアレンジし、赤色系をベースとして、落着きと華やかさ、雅やかさを表現したものとなっています。座席背面には近鉄特急車としては初めて吊り支え式の大型テーブルを装備し、足を降ろすと布張りの踏面がばねの力で自動的に反転することで靴を脱いだ状態でも清潔に使用できる固定可能な大型の跳ね上げ式フットレストと、電子機器の充電や電源等に使用することができる家庭用規格電気コンセントの差込口を1か所備えています。座席肘掛け内部には座席背面テーブルとは別に、座席を向かい合わせにしても使用できる引き出し式の小型テーブルを収納しています。また客室両端部には座席背面テーブルよりもさらに大型の折りたたみ式テーブルと電気コンセントの差込口を1席当たり1か所設置しています。

トイレはTc車に男性専用・女性専用を各1か所と男女共用を1か所、車椅子対応座席最寄りのT車には折りたたみ式のベビーベッドを備え車椅子でも利用できる大型の多目的トイレと男性専用トイレを各1か所設置しています。このほかに洗面所を併設しています。男性専用トイレに小便器を設置するほかは全て洋式便器を採用し、温水洗浄便座を備えています。

照明は天井が淡く発光するよう蛍光灯埋め込みの間接照明とし、荷棚灯下面の照明にも間接照明を採用しています。デッキ部の照明はダウンライトのほか、左右いずれかの妻板が発光することで次停車駅の開く側の扉を知らせる案内機能を備えています。

22600系では製造当初から客室座席に灰皿を設けていません。しかしながら車内を全面禁煙とする方針は採らずに、客室・通路・トイレ内は全面禁煙としたうえで、ク22900形の運転室後寄りに喫煙室を設置しています。喫煙室とデッキの間は、たばこの煙やにおいが漏れないよう透明な仕切り板と引き戸によって完全に区切られています。喫煙室内部は灰皿と換気扇および大きな側窓と簡単な腰掛が設けられており、喫煙室内の空気がデッキへ流れ出さないよう配慮するとともに、利用客の閉塞感が軽減されるよう配慮されています。


形式

22600系は以下の4形式から構成されています。

モ22600形

上り方(大阪難波・大阪上本町方)の制御電動車(Mc)です。

サ22700形

付随車(T)です。車椅子対応のトイレ、洗面室が設置されています。

モ22800形

電動車(M)です。車内販売準備室と自動販売機が設置されています。

ク22900形

下り方(近鉄奈良・橿原神宮前・近鉄名古屋方)の制御車(Tc)です。通常のトイレ、洗面室と喫煙室が設置されています。


編成

22600系の編成は4両と2両の2種類が存在しています。

4両

モ22600サ22700モ22800ク22900

2両

モ22600ク22900


車両についての見解

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