近鉄22000系電車

車両について

運用事業者 近畿日本鉄道(近鉄)
製造所 近畿車両
製造年 1991年(平成3年)~1994年(平成6年)
製造数 86両
運用開始 1992年(平成4年)3月19日
運用路線 難波線・奈良線・京都線・橿原線・大阪線・名古屋線・山田線・鳥羽線・志摩線
最高速度 130km/h
備考 1992年度グッドデザイン商品(現在のグッドデザイン賞)選定

近鉄22000系電車

クイックアクセスガイド

車両の概要

車両の性能・仕様

形式

編成

導入年次による変化

車両についての見解


車両の概要

近鉄22000系電車(きんてつ22000けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道(近鉄)が1992年から運用している特急形電車です。

22000系は、それまで汎用特急車両として使用されていた10400系・11400系「エースカー」の老朽取替を目的に1992年に登場しました。内装は21000系や26000系の高品質デザインを引き継ぎつつ座席構造を25年ぶりに一新し(1967年12月竣功の12000系に採用された簡易リクライニングシート以来の変更)、バリアフリー対応設備を初めて導入、機器は21000系では採用し得なかったVVVFインバータ制御をはじめボルスタレス台車や交流誘導電動機を採用、乗降扉は1958年以来採用してきた折戸式からプラグ式に改めるなど、設計思想・デザイン・性能など全てにおいてそれまでの近鉄特急車両とは一線を画すものとなっています。

1992年グッドデザイン商品を受賞しています。


車両の性能・仕様

車体構造

車体断面は卵形で、車内の天井高さを充分に確保するべく屋根巻き上げ半径を小さくし、構体を高めました。構体の屋根巻き上げ部半径は300mm、レール上面から屋根(クーラーキセ取り付け部)までの高さは3,760mmで、21000系の半径600mmと高さ3,640mmと比較すると構体の上げ幅が大きいことがわかります。床部分にはアルミ合金パネルを採用して工程の簡略化も行われています。12200系など既存特急車との併結を行うために、前面にはスイング式の幌カバーを装着した貫通式を採用、運転台に大型曲面ガラスを採り入れ、凹凸の少ない丸みを帯びた前頭形状とするなど車体デザインも一新しています。標識灯、尾灯は21000系以来の車体埋込型ですが、素子の配列が大きく変更された。その結果、21000系の1ユニット16個の素子構成から、26000系の61個のタイプを経て、本系列では126個となり、これを縦2列×横8列に組んで左右に配置しました。

前面から従来の汎用特急車の様な特急標識は無くなり、向かって左側の窓内に行先表示器を設置しています。22000系1次車の製造当初は黒地に白文字でローマ字表記もされていましたが、まもなく赤地に白文字に変更されました。側面行先表示器は各乗降扉脇にあり、号車番号表示器も設置しています。

乗降扉は従来の二枚折り戸からプラグ式に変更され、密閉性を高めると同時に前面貫通扉のスイング化ともあいまって、完全なフラッシュサーフェス化を実現してシンプルな外観となりました。

側面窓はガラス外付けの連続窓を採用しましたが、21000系よりも簡略化しました。これはペアガラスと一体になったアルミ製の窓枠に直接ねじで構体にビス止めし、ビス隠しのためにシール材でビス部分を覆う工法であり、21000系と異なって窓枠周りにビス隠し用のゴムは巻かれていません。このほか、窓柱もゴムを省略して黒色のシール材を入れて見付をすっきりさせました。

塗装は10000系以来のオレンジとブルーを基本としていますが、当系列より色味が若干変更され、以後、在来特急車も順次当系列に準じた色味に塗り替えられました(現在は前面を22600系に準じた塗り分けとし、側面はクリスタルホワイトを基調にブライトイエローを車体上下に配して窓下にゴールドラインを入れて品格の高さとスピード感を表現したものとなっている)。前面塗り分けは、時代を追うごとに紺色塗装の割合が減少する傾向にありましたが、当系列ではついにオレンジ1色となりました。側面はこれまでのように、紺色の帯が編成全体を取り巻く連続塗装ではなく、各車の連続窓部分のみに紺色塗装が施されるブロックパターンとなりました。モ22200形とモ22400形車端部の窓のない部分には愛称名のイニシャル「A」を浮かび上がらせたブルーのストライプでアクセントをつけていました(現在は新しいデザインのロゴマークとなっている)。

主電動機・制御装置・台車・運転機器

主電動機は近鉄特急車では初のかご形三相交流誘導電動機を用いています。また、制御方式はGTOサイリスタ素子を用いたVVVFインバータ制御となっています。

台車は、ディスクブレーキとヨーダンパを併用したボルスタレス台車となっています。

ブレーキ制御は、回生ブレーキ付き電気指令式となっています。

車内仕様・サービス設備

車内デザインはおおむね21000系を踏襲しました。天井の形状や、荷棚形状に多少の差異はあっても基本的には同じとなっています。当該系列は汎用型特急車両であるため、全車レギュラーシートでデラックスシートの設定はありません。

化粧板のカラーリングは明るいグレー系で、21000系で採用された色の模様は入っていません(現在は黄色調)。客室仕切扉脇のLED式号車、禁煙、トイレ使用サインパネルは21000系と概ね同じ機能ですが、機器厚さを薄くしたほか、男性小便器ブースと洋式トイレ別に使用表示を分離、および一部サインパネルに座席転換用キースイッチを設けた点が異っています。仕切り扉上にはLED式のフリーパターン車内案内表示器が設けられました(現在はフルカラーLEDとなっている)。カーテンは当系列よりかさばらないプリーツカーテンが採用され、以後の特急車もこのタイプとなりました。カーテンタッセルは30000系「ビスタカーIII世」以来のU字状のアルミ鋳物に挟み込む方式から、帯によって束ねる方式に戻されました(増備途中から鋳物タイプに変更し、現在はすべてこのタイプ)。

4両編成のモ22200形には、バリアフリー設備として近鉄車両としては初の車椅子対応座席と車椅子対応トイレが設置されています。この車両の乗降扉は車椅子の通行を考慮して他車よりも開口部が広くなっています。客室仕切扉も同様に広く、22200形のトイレ側のみ両開き式となっています。座席も1人掛け用が2脚配列されました。この車椅子区画と一般客用の通路の幅が異なるため、段差吸収のためにテーブルを兼用した仕切りが左右両側に設けられました。

座席構造はバケット型シートが採用され、座席の転換も従来特急車の背起こし回転式からペダル回転式へ変更され、リクライニングの駆動方式もメカ式から油圧式とされました(現在は新設計のものとなっている)。テーブルはひじ掛けの蓋を開けて引き出す方式(現在は背もたれの部分にも搭載)、足置き台は新幹線100系電車の普通車で採用されたのと同様の形状となっています。また座席幅も従来車より広げられ、シートピッチ(座席前後の間隔)は1,000mmとなっています。モケットはグレー系に緑がかったラインの入ったもので、グレー系の化粧板と併せて落ち着いた雰囲気を出していました(現在はツイードパターンをモノトーンで仕上げたデザイン)。この座席は23000系「伊勢志摩ライナー」にもモケット変更・シートピッチ拡大のうえ、採用されています。また、2006年以降の12200系B更新にも部分変更の上採用されました。座席の枕カバーは当初は黄色でしたが、後に白色とされました。座面高さは21000系より若干高めの410mm (+10mm) となっています。中肘掛は樹脂製で、背ずりに収納できるようになっています。座布団は、当系列よりウレタンを使用し、軽量化を図りました。そのほかに、肘掛部分はこれまで塗装の剥がれを考慮して、21000系のデラックスシート以外では塗装されていませんでしたが、当系列より剥がれ落ちの少ない粉体焼付け塗装を施して、見付の向上を図りました。座席は列車折り返し駅における座席転換作業を省力化するために、自動回転機構が設けられました。後年、禁煙車の増加によりひじ掛けの灰皿を撤去の上、その部分の蓋をした座席も現れました。

トイレは洋式と男性小便器ブースの組み合わせに統一され、和式は存在していません(現在は女性専用のものも存在している)。汚水処理方式は近鉄特急車として最後の採用例となる循環式となっていました(現在は真空式)。このため、洋式便器は新製車として最後の床据え付けタイプとなり、23000系以降の系列は全て壁掛けタイプに変更されました(現在は全て壁掛けタイプ)。洗面所の鏡は円形となり、鏡の裏より光が漏れ出るバックライト方式となっています。トイレ内部の鏡も円形とされました。また、前述通りモ22200形にバリアフリー対応のトイレが設けられました。23000系「伊勢志摩ライナー」と異なって洗面台とトイレの左右位置関係が逆で、バリアフリー対応トイレは山側に位置しています。なお、洋式トイレは当初、便座にビニールカバーを巻きつけて、使用ごとに繰り出して送るタイプでしたが、後年は一般的な便座に交換のうえ、消毒液が壁に設置されました。

照明は21000系の天井中央から発光する方式を改め、左右両側から発光する方式となりました。荷棚下部の照明も21000系と異なり、グローブの形状がU字状となって、冷風吹き出しスポットを挟んで2灯ずつ各座席ごとに配置されました。荷棚先端には、荷物の確認がおこないやすいようにスリットが設けられました。


形式

22000系は以下の4形式から構成されています。

モ22100形

上り方(大阪難波・大阪上本町方)の制御電動車(Mc1)です。

モ22200形

電動車(M')です。車椅子対応のトイレ、洗面室、男性用トイレが設置されています。

モ22300形

電動車(M)です。通常のトイレ、洗面室、男性用トイレと女性専用トイレが設置されています。

モ22400形

下り方(近鉄奈良・橿原神宮前・近鉄名古屋方)の制御電動車(M'c)です。通常のトイレ、洗面室、女性専用トイレと喫煙コーナーが設置されています。


編成

22000系の編成は4両と2両の2種類が存在しています。

4両

モ22100モ22200モ22300モ22400

2両

モ22100モ22400


導入年次による変化

1992年4月製造(22000系2次車)

4両編成2本と2両編成1本が増備されました。この編成からは正面排障器(スカート)の切り欠き部の形状および屋上クーラーキセの換気口の形状が変更されました。また、鏡の大型化とライトの変更が行われ、カーテンタッセルが鋳物に挟み込む方式に変更されました。それ以降に増備された編成も同様のものとなっています。


車両についての見解

現在、準備中。