国鉄211系電車

車両について

運用事業者 東海旅客鉄道(JR東海)
東日本旅客鉄道(JR東日本)
製造所 日本車輌製造
川崎重工業(現在の川崎車両)
近畿車両
日立製作所
東急車輛製造(現在の総合車両製造所)
製造年 1985年(昭和60年)~1991年(平成3年)
製造数 827両
運用開始(JR東海として) 1986年(昭和61年)
運用路線(JR東海として、
JR東日本車の乗り入れも含む)
東海道本線(熱海~豊橋)・御殿場線・中央本線(中津川~塩尻)・身延線(富士~西富士宮)・飯田線(飯田~辰野)
最高速度(JR東海として) 120km/h
備考

JR東海211系5000番台

クイックアクセスガイド

車両の概要

車両の性能・仕様

形式(JR東海として)

番台区分について(JR東海として)

編成(JR東海として)

車両についての見解


車両の概要

211系電車(211けいでんしゃ)は、1985年に登場した直流近郊形電車です。当初は日本国有鉄道(国鉄)が、国鉄分割民営化後は東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)により設計・製造されました。

直流近郊形電車は、1962年から20年以上にわたって111・113系と115系が製造されてきました。本系列は、これらに代わるフルモデルチェンジ車で、軽量ステンレス製車体や構造の簡便なボルスタレス台車、電機子チョッパ制御よりも簡便かつ安価に回生ブレーキが使用可能で抵抗制御を基本とした界磁添加励磁制御、応答性の高い電気指令式ブレーキや簡易的なモニタ装置など、省エネルギーや保守費低減に配意した新機軸が各所に採用されています。これらは通勤形電車の205系で先に採用されたものですが、本来は近郊形電車用のシステムとして開発されていたものとなっています。1ユニットあたりの力行性能の向上により、電動車比率を下げ、2M3T編成で25 ‰区間までの勾配でも通常の使用ができる設計とし、新製コストと運営コストの減少を狙った設計としました。これにより2M3T編成でも113系・115系の2M2T編成と同等以上の走行性能を持っています。

車体は、片側3か所に両開きの扉を設けた国鉄近郊形電車の基本的構成ですが、両端の側出入口の位置を若干車端に寄せた配置としています。外板間の車体幅は、従来の2,900 mmから初めて2,950 mmまで拡大され、裾絞りが大きくなっています。また暖地・平坦線用の113系と寒地・勾配線用の115系を統合し、細部の仕様変更を行うことで両系列の取替に対応しています。また座席は従来と同様のセミクロスシートの他、長距離通勤客の増加に伴う混雑に対応するため、オールロングシートの車両も製造しました。クロスシート・ロングシートともバケットタイプとし、クロスシートはシートピッチ1,490 mmのままでスペースと通路幅を広げ、ロングシートは1人分の幅を広げました。また、セミクロスシート車も混雑緩和のため、415系700番台同様、車端部をロングシートとしています。

国鉄時代は付属編成のみがオールロングシート車とされていましたが、国鉄分割民営化後の増備車はすべてロングシート車が基本となっています。さらに、車体の構造と台車は同時期に製造された415系1500番台にも採用され、民営化後も車体や制御システムの設計を流用した車両が登場しています。


車両の性能・仕様

本系列のMM'ユニット車の主電動機は、MT61形という713系向けに開発されたものを使用しています。定格出力こそ従来多用されてきたMT54形と同じですが、低回転域のトルクを381系向けのMT58より強化(MT54とMT58の中間の特性)したうえで、従来の近郊形電車よりも大きめの歯車比を採用し、定格速度を113系・115系より6.5 km/h低い46.0 km/hとしたため、逆にユニット当たりの引張力は6,690 kgから7,580 kgへと一割強大きくなりました。一方で、許容回転数を上げて最弱め界磁率を35 %まで取り、高速性能を確保しました。2M3T編成においても113系・115系の2M2T編成を上回る走行性能を持つ理由となっています。

1M方式(非MM'ユニット車)車の主電動機はMT64形で、定格端子電圧がMT61形の2倍の750 V、定格電流が半分の180 Aとされていますが、速度特性は極力MT61形に揃えられています。このシステムは後に213系用として初採用されましたが、本来は本系列の横須賀・総武快速線への投入を構想した際、MT比2:3(15両編成時6M9T)では不足する走行性能と、電動車を増やすコストをバランスさせるために開発されていたもので、最初からMM'ユニット方式との混用が想定されています。

主制御器は205系のCS57形に抑速ブレーキの機能を追加したCS57A形です。抑速ブレーキは40 km/h以上で作動します。

電気ブレーキは、添加励磁装置を用いて回生ブレーキを行います。高速では界磁電流は弱く、主回路電流は強くし、速度の低下とともに界磁電流を強めながら主回路電流を減じるよう制御することで、一定の回生ブレーキ力が確保されています。78 km/h以上からブレーキをかける時は電動機は並列つなぎで、それ以下からの場合は直列つなぎで回生ブレーキを開始します。並列つなぎで開始した場合は60 km/h前後で直列つなぎに切替えますが、切替の際に端子電圧を急に半減することはできないため、抵抗を挿入しながら回路を切替え、その後抵抗が抜かれます。

低速では界磁電流を強めても回生電圧が架線電圧を下回るため、30 km/h前後で回生ブレーキが失効します。


形式(JR東海として)

211系は以下の4形式から構成されています。各形式とも番台区分により機器・車内構成が異なっています。

クモハ211形

モハ210形とユニットを組む、上り方(熱海・塩尻・国府津方)の制御電動車(Mc)です。パンタグラフと主電動機や主制御器を搭載しています。

モハ210形

クモハ211形とユニットを組む、中間電動車(M)です。電動発電機(MG)と空気圧縮機(CP)を搭載しています(5000番台には電動発電機が無く、DC-DCコンバータが搭載されている)。

クハ210形

下り方(名古屋・西富士宮方)の制御車(Tc')です。車内にトイレが設置されています(5000番台を除く)。

サハ211形

中間付随車(T)です。本系列の中で最も多く製造されています。


番台区分について(JR東海として)

番台\設備 行先表示機車内仕様編成両数配置
0番台(廃車) セミクロス4両神領
5000・5300番台
1次車(廃車)
3色LEDロング4両
3両
神領
5000・5300番台
2次車以降
5600・6000番台
ロング4両
3両
2両
静岡

編成(JR東海として)

211系の編成は4両・3両・2両の3種類が存在しています。

4両(0番台・5000番台・5300番台・5600番台)

クモハ211モハ210サハ211クハ210

3両(5000番台・5600番台)

クモハ211モハ210クハ210

2両(5000番台・6000番台)

クモハ211クハ210


車両についての見解

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